パラノイドパークのレビュー・感想・評価
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はまる人とはまらない人を選り好みする、わがままな映画
過失で殺人を犯してしまった少年の罪と罰を描く。 強烈な完成度。独特のカメラワーク、アングル、色彩、音、光、編集、メタファー等、映画ならではの様々な仕掛けが緻密に85分間に凝縮され、演者の演技力やストーリー展開を超越して、少年期特有の虚無的危うさと殺人という罪の呵責の両側面が実に見事に表現されている。 「美しい少年の罪と罰」が、「手紙」という形で形象化が試みられ、結末へと至っていく物語は、個人的に興奮フラグ。はまる人とはまらない人を選り好みする、わがままな映画だと思う。
若者よ、苦悩しろ
全く解決しない、もやもや感の残る映画。セックスするシーンなんて要らないし、もっと苦悩するアレックスを見たかったよ。まぁ、最近はそんな若者が増えてるってことか? ストーリーはいきなり時系列バラバラになっており、結局、平然と刑事の尋問を受けてるアレックスが印象に残るだけ。そして、列車に轢かれ真っ二つにされた警備員がまだ生きていたという姿。ホラーじゃあるまいし・・・
感性はそれぞれ
何かしら後悔する想いを知る人間なら、 この映画の理解も少し可能かもしれません 罪を犯そうとして犯すわけでは無く。 犯した罪は消せるわけも 許されることも無く。 貧困層 中流階級 の交わるスケボーパーク ドストエフスキーの「罪と罰」の内容を今風に端的にまとめた感は否めませんが。 僕は割と好きです。 まともな人間なら、 罪を犯し 罰を法律から受ける前に、 このように感じるのでしょう。 その罪を共感することは不可能なわけで、 共感出来ない罪を持つということは 一生口にできない重荷を背負うこと 能天気に振る舞う友人達と 簡単に笑い合うことも出来無くなる。 後悔と罪の意識に押し潰されないために、吐き出す場所を探すが、そんな安易なものはなく、ただ紙に書いては捨てる告白
美しいほどに、ガスらしい映画
ガス・ヴァン・サントにしか撮れない、違和感のない日常的風景。クリストファー・ドイルの複雑でリズムあるカメラワーク。そして、どこからともなく流れるイーサン・ローズの音楽。どの場面を切り取っても、美しい一枚の絵画のよう。 ある『出来事』に対する自分の罪と葛藤し、逃げ場のない主人公。自分の心を閉ざし、悲しみをまとう主人公に対して、ガスの作品は最後にいつも暖かい光をそそいでくれる。それが、ほんの少しの光であっても。
淡々とした演出では「冷めた心」は理解不能
<ストーリー> アレックスはスケボーが好きで、ちょっと何事にも冷めている高校生。彼女もいるが、特に夢中なわけでもなく、何となく毎日を過ごしている。そんなある日、スケボー好きの集まる「パラノイドパーク」で一人でいた彼は、年長のボーダーに誘われて列車に飛び乗る遊びに興じるが、そこで警備員に見つかり付き飛ばしてしまう。そこへ別の列車が来て・・・ <個人的戯言> 【♪レ~ジ~メ~♪】 正直最初の方の記憶が・・・元々「エレファント」も駄目で、ガス・ヴァン・サントはどうも性に合わないと思いながらも、予告で引っ掛かったため、とにかく確認のための鑑賞だったため、眠気に抵抗する気もなかったかも。 しかしその辺を差し引いたとしてもやはり無理~っ!あるいは昨今の若年の殺人者の気持ちなんてこんなものかもしれません。まして彼にはその気はなく、言わば事故のようなもの。でもそれをただ淡々と描くことで、その感情を理解出来ると思っているのでしょうか??追い討ちをかけるように挿入されるスケボー・シーンやスロー・モーション。これも「冷めた心」の象徴?更に全く場面にも流れにも合わないように思える音楽の選曲。もう二度と観ません、ガス・ヴァン・サント。 【ぐだぐだ独り言詳細】 最初の記憶喪失?のため、時間軸をいじった構成だったので、ストーリーの流れを掴むのに苦労しました。なので正当に評価出来ないとは思います。それにしても「エレファント」にしてもそうでしたが、その「心情」を表現するのに、ただ淡々と描く手法には、どうにもついていけません。 背景等も特になく(1点のみそれらしきものはあります)、ただそういうものだと言われればそうなのかもしれませんが、何かその「冷めた心」を表す事象を、徹底して見せてもらって、「もう充分!もうわかった!」と思わすものがほしい気がします。彼女との間や、挿入されるスケボー・シーンやスロー・モーション等は、それにあたるのでしょうが、それでは理解できませんでしたし、特にスケボー・シーンとスロー・モーションは、「想い出」として出てくる部分以外は、突然出てくることに違和感すら感じます。でおまけに淡々としながら、一応考えて辿り着くのがその程度で・・・これは原作のせいかもしれませんが・・・ 更にその「冷めた心」にシンパシーは感じなくても、理解しようとするのを妨げるのがその選曲。例えばこういうムードなら、音楽がそれをバック・アップすることも考えられますが、これがどう考えても場違いな感じの、能天気な音楽が流れたり(空気感的に敢えてこういう選曲もありだとは思いますが、ここではそんな空気感も出てません)、突然ゆる~い曲が流れたりと、もうどんどん自分の顔がしかめっ面になっていくのがわかりました。隣の人がやたら携帯を開いて、光を放っていたのだけが原因ではないと思います。 というわけで、とにかくいい悪いよりも、こういう演出方法は私は嫌いです。なので「ガス・ヴァン・サント」ファンの皆さん、ごめんなさい、いろいろ書きまして。もう観ませんのでお許しを。
不思議な心地よさ
こういう映画、好きです。共感できない物語なのに、共鳴できない主人公なのに、見終った後に不思議な心地よさが残りました。家族とも恋人とも距離を置きながら生きている少年があやまって人を殺めてしまった話で、本来は暗くなりがちなのに、なんでなんだろうと見終ったあとに考えてしまいました。映像と音楽で物語に不思議な浮遊感をあたえていて、癒されてしまったのかもしれません。主人公の苦悩もあまり感じられず、絵空事、遠い世界のことのように描かれている気がします。決して万人向けではありません。ここ数年、日本映画によくある主人公が死ぬような映画を好きな人は、間違えても見ない方が良いと思います。
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