ハンティング・パーティのレビュー・感想・評価
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サイモン・カント! 人間はどこかでキレることがあるものだ。 社...
サイモン・カント! 人間はどこかでキレることがあるものだ。
社会派要素を盛り込んだサスペンスかと思っていたけど、どこかコミカルであり、これが平和な世界に生きている人間にとってはリアルさも感じてしまう。冒頭のテロップにはまさかと思う部分に真実が・・・などと、どこがトゥルー・ストーリーなのかを見破ってやろうという気持ちにさせてくれる。
痛烈なアイロニーが炸裂!
リチャード・ギアが主演だと
イメージ的には軟派なラブロマンスを予想してしまうが、
ところがドッコイ硬派な政治風刺映画だった。
物語はあるジャーナリストが
政情不安な国を取材中に恋人が出来たのだが、
彼女は政治犯達に惨殺されてしまう。
彼は、ジャーナリストとして政情が不安であることを
テレビの前でスッパ抜いて、
包み隠さず暴露してしまう。
その為、成功していたジャーナリスト活動は
停止状態へ追い込まれてしまい、彼の姿は消えていく。
十年後
莫大な懸賞金が賭けられた政治犯を追い求めて再び現れた。
この物語自体は痛快な結末を迎えるのだが、
意図するところは、
何故オサマ・ビンラディンのように
莫大な懸賞金が賭けられているのに、彼等は捕まらないか、
という痛烈なアイロニーである。
そして、この作品の最後のシーンは
とても痛快に思えた。
う~ん、イマイチ。
実話を元にしていることに、こだわり過ぎているんじゃないかな。最初に「バカげていてありえないと思う部分が真実」という大胆なテロップを見せられちゃうから、始終ワクワクするものの、アクションと表するには地味だし、ヒューマンドラマにするには深みがないし、終わってみると典型的なハリウッド大衆映画だったということに気づく。本で読んだ方がおもしろそうな題材でした。
チベット問題といえばこの人!
18日試写会、よみうりホール/リチャード・ギアは私が大好きな俳優の一人!「愛と青春の旅立ち」や「プリティー・ウーマン」など最高に好きな作品だからでしょうか、多少、作品も贔屓目に見てしまいます。それはさておき、最近はアメリカでのチベット問題の抗議の映像がよく流れますが、以前にもオスカーのプレゼンターの際にチベット問題を取り上げたせい(*オスカーでは政治的発言はタブー!)で、たしか、オスカーから干されたこともあった気がします。そんなリチャードの政治的姿勢・思想がよく表れた、いい映画だと思います。昨年公開された「キングダム」が好きな方には特にオススメしますが、最近はこのような政治的趣旨が強い戦争抗議映画はアメリカでは興行収入が伸び悩んでいるとか。であれば、いい映画であれば代わりに、沢山の日本人が見てあげてやれればなあ・・・と感じました。
社会派スターとしてのリチャード・ギアの怒りがほとばしる作品
8000人が殺害されたサラエボ紛争における「スレブレニツァの虐殺」。その虐殺の首謀者カラジッチは今でも逃走中であるとか。この作品は、実際にカラジッチの居所を突き止めるためボスニアに入り、追跡した実話に基づいています。
物語と同じくCIAに間違われることで、アメリカや欧州諸国、CIA、国連が一蓮托生となって、カラジッチの逮捕をサボタージュしている現実にぶち当たったのです。
作品サイトのイントロダクションにあるように、どうして米政府が500万ドルもの懸賞をかけても、カラジッチは逮捕されないのでしょうか。
その疑問と怒りが、どっちかというと軟派な作品の出演が多かったリチャード・ギアを変えたと言っていいでしょう。ただし変わったと思うのは観客のほうで、リチャード・ギア本人は元々ガチガチの社会派だったわけで、本作はその真骨頂を見せるような演技に取り組んでいます。
なかでも彼が演じるスターキャスターサイモンが、虐殺現場でプッツンして、生放送中に暴言を吐き、即刻クビになるところでは、魂の底から搾り出すような怒り方でした。役柄でもサイモンの子供を身ごもった現地の女性が殺された直後という設定もあるため激情したとも言えますが、リチャード・ギア自身が心の中で、こんな非人道的行為は絶対許されないのだと叫んでいたのに違いありません。
こういう風に書けば、一直線に勧善懲悪に走る作品に思われがちですが、リチャード・シェパード監督は、正義感をストレートに表現せず、上手にエンタテインメントとしてまとめています。
まずはサイモンのキャラ。ヒーローには似つかわしくないクレージーさで何をやらかすかわからないし、人を煙に巻いてしまうけれど、心の底は曲がったことが大嫌いで、こうと決めたことに突き進んでいくタイプなんです。
こういうキャラだから、虐殺現場でプッツンしたことも頷けるし、戦争犯罪人フォックスを捕まえるという突飛な話も、彼ならアリかなと思ってしまいます。人間味あるサイモンのキャラ自体に魅力を感じました。
見ているほうも半信半疑だったのですが、ほんとにサイモンは元相棒のカメラマンのダックと大学出たばかりの新米プロデューサーを従えて、フォックスの潜む「敵地」セルビア人居住区に潜入していきます。こんなヨワッチイ武装もしない3名のクルーがセルビア人たちが崇めるフォックスを捕まえることができるかと思わせることが、監督の狙いなんでしょう。
潜入早々から、住民にピストルで撃たれるなど、ハラハラドキドキの冒険ものの様相になっていきました。逆にフォックスたちに捕まって、絶体絶命になったあとどうなるかは必見ですよ!
あとダックを演じるテレンス・ハワードもよかったです。「ブレイブ ワン」の時も人情味ある刑事役が印象に残りました。この作品でも、戦場カメラマンの頃と、スターカメラマンに上り詰めたときの貫禄の違いがはっきり演じ分けられています。しかも成功して、美女に囲まれる生活の中にも、どこか昔の戦場での緊張感が忘れない物憂いさを感じさせてくれます。
彼のサクセスと、サイモンの落ちぶれていった生活は、対照的です。けれども、この作品を見ていると、命がけでフォックス狩りに突き進んでいるサイモンの方が生き生きとして魅力的に感じてしまうのは、小地蔵だけでしょうか。
ちよっぴし、人生も感じさせてくれる作品でした。
最後に、フォックス狩りに突き進んでいるところで全体の3分2を費やしてしまい、ラストが駆け足になってしまったのが残念です。でも充分面白かったですよ。
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