「スコセッシVSミック・ジャガー?」ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
スコセッシVSミック・ジャガー?
スコセッシが自作で再三BGMに使ってきたローリング・ストーンズのコンサート映画を監督する。まさに大好きなバンドとの仕事でさぞや楽しかっただろう、と思いたいのだが、スコセッシの目論見は序盤からつまづいてしまう。さすがに現役最古にして最高のロックバンドは曲者ぞろいであり、特にミック・ジャガーに翻弄される様子がそのまま映し出されていて笑ってしまう。
特に綿密に準備したいのに、本番当日になってもミック・ジャガーからセットリストを教えてもらえず(ギリギリまで決まっていない?)やきもきするスコセッシの姿を観ていて、これはもしかしてストーンズというよりスコセッシのドキュメンタリーなのかも、と思ってしまう。
とはいえコンサート映画としてのクオリティは素晴らしく、スコセッシは一貫して観客席からの目線ではなく、バンドと一緒にステージ上に立っているような感覚を味わせてくれる。カメラは基本的にステージの上で、演者のすぐそばで演奏を観る臨場感は、ライブに行っても体験できないものだろう。
そして最後はまたスコセッシ御大の登場で〆る。考えたらスコセッシはウッドストックに映画スタッフで参加して以来、音楽映画の現場でミュージシャンのわがままに翻弄されることが多かった。それでもやっぱり音楽に足を突っ込まずにはいられない、そんなファン心理が宿った映画でもある。
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