「チャウシェスクの子どもたち」4ヶ月、3週と2日 .ruさんの映画レビュー(感想・評価)
チャウシェスクの子どもたち
東欧革命の少し前のルーマニアが舞台の映画。
手持ちカメラでワンシーンワンショット。
非常に暗くて退屈です。
その退屈さが社会主義時代を表してる感じがして良かったです。
堕胎した胎児を、まるで子猫でも抱くように
腕にかかえていたのが印象的でした。
劇中に出てくるホテルの内装がアンカラで泊まったホテルに似ていて、
その時のことがすごくリアルに甦りました。
汚れた壁、薄暗い廊下、鍵のかかりづらいドア、タイルの割れたバスルーム、
泡立たない小さな石鹸、ごわごわといやな肌触りのシーツ、窓の下の喧騒。
アンカラのそのホテルで、妊娠と死産の夢を見たことを思い出しました。
その夢では、私は死産してしまったのだけど、
その後に死産なんてしていない、あなたの子どもはちゃんと生きている、と
周囲の人たちに言われる、という夢だったのです。
死産だとわかった時はとてもつらく泣き暮れて、だけど子どもが生きていると言われたときに、
私はそれを絶対に認めようとしなかった。
とても後味の悪い夢だったのです。
夢分析によれば、妊娠は願いが叶うことの暗示、
死産は大切なものを失くしてしまうこと、過去との決別を暗示しているとか。
命の大切さとか、無責任さをこの映画でとやかく述べるのはナンセンスだと思う。
ラストシーンの二人の、どこか清々しい表情は、
やり終えた安堵感と、また続いていく明日からの日々、
そして数年後にルーマニア革命が起こることを含ませているような気がするのです。
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