劇場公開日 2008年7月26日

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「予想に反して、すごく面白かったです。なんと試写会では終了時に拍手に包まれました。」カンフー・パンダ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0予想に反して、すごく面白かったです。なんと試写会では終了時に拍手に包まれました。

2008年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 予想に反して、すごく面白かったです。やっぱりカンフーに関してジャッキーが武術指導で参加しているため、本格派なんです。しかもジャッキーの映画そのままにコミカル。あれはアメコミの大味でくどい演出では無理ですね。それで、なんと試写会では終了時に拍手に包まれました。

 予告編を見たときは、お子様向けのアニメという感じでパスしようと思っていたのです。
 上映が始まって、なんといっても驚きなのが主人公ポーの父親。なぜかニワトリなんですよ。何で父親がニワトリなんだ!しかも家業はラーメン店。秘伝のスープが自慢というけれど、ダシに鶏肉を使っているかもなんて突っ込みつつ、全然ストーリーに身が入れませんでした。

 ところが30分過ぎたあたりからポーが違ってきました。
 亀賢人に選ばれたポーがカンフー修行に入るあたりからがぜん面白くなります。なんたって、ぐうたらなポーを修行させるのは大変なことです。シーフーが苦悩するのも当然。さじを投げかけたとき、シーフーに語った亀賢人オーグウェイの「信じてあげようではないか」という優しさに包まれた言葉に感動してしまいました。
 部下やわが子をいつもだめ出している人がこれを見たら、きっと反省することでしょう。人にはその日となりの才能ってきっとどこかにあるものですよね。だめ出しする人って頭からバカと決め付け、その人の可能性を信じようとしないのです。
 けれどもシーフーが苦悩するのは、過去に育てたある弟子の堕落と裏切りがあったからなんです。その弟子を信じて(というより実態は鵜呑みにして)、強く厳しく指導しなかったばかりにとんでもないことに。だから素直に信じられなかったのです。
 シーフーの苦悩は、スターウォーズのアナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン師弟に似ている話ですね。そういえば、シーフーはヨーダに似ています。亀賢人の人を活かし許す愛の気持ちにほだされたシーフーは、ポー専用の修行方法を編み出します。抱腹絶倒のこのシーンは必見ですよ!ちなみにジャッキー映画ではおなじみの修行シーンです。

 やがてポーも奥義を見つけます。特別なことって、それは自分が特別だと思うことなんだと。
 そこで自分のぷよぷよした体型を逆手に取った奇想天外な戦い方を身につけるわけなんです。「信じること、それは奇跡を起こすこと。」というテーマは伊達ではありませんでした。 小地蔵は、この台詞を耳にしたとき、ああっそうかと勇気が出てきました。
 この作品に声優として参加しているアンジーは、こう語っています。
 「あなたが他の人とは違うところ、あなたにしかない部分。それが何であれ、それを受け入れてあなた自身であるべきだわ」と。
 ちかごろ何事にも自信と夢を失っている人へ。
“自分を信じることで誰もがヒーローになれる”というこの作品のポジティブなメッセージに共感できたら、きっとしかめっ面から「アイムファイン」「アイキャン!」と力強い情熱が湧きあがってくることでしょう。

追伸
 中国人が感心したほど、カンフーだけでなく中国文化、風習を徹底してリサーチし、中国らしさを表現したそうです。特に箸で修行するところは、ジャッキー映画の名シーン。そのほか背景の寺院の文様やも村民の衣服に至るまで、徹底したオマージュぶりには頭が下がります。

流山の小地蔵