劇場公開日 2008年9月6日

  • 予告編を見る

「グーグーはメインストーリーに絡まないのですが、かわいさに納得。」グーグーだって猫である 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0グーグーはメインストーリーに絡まないのですが、かわいさに納得。

2008年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ちょっと期待はずれな展開でした。試写会場でも、「微妙~」「う~む」とのささやく声が漂っていましたね
 愛猫サバを亡くした女性漫画家の麻子がグーグーと出会い、立ち直っていく物語と思っていたら、そんなにグーグーはメインストーリーに絡まないのです。
 ですので、本作でグーグーは麻子のそばにいて、愛らしさと仕草の可笑しさで観客のウケを取る役割なんだと割り切ってみてください。それだけでも、微笑んでしまうくらい、グーグーはかわいかったです。
 動物園の檻の中でウンチにまみれて黒く汚れたパンダたちを見るよりも遥かに、キャワイイ~ネコちゃんだったですよ。

 原作はエッセイだったので、そのためかストーリーが散漫としており、途中に脈絡なく挟まるストーリーテーラーやエピソードによって、なんだかとっても不思議な感じのする作品に仕上がっています。あまり小難しいことは考えず、登場人物たちと一緒にグーグーを観察するくらいの気持ちで鑑賞すれば、きっと心地よく癒されることでしょう。

 ドラマとしてみる分には、小泉今日子が演じる漫画家の麻子とアシスタントのナオミを演じる上野樹里がダブル主演状態になっていて、もう少しどちらかに絞り込んだ方が、感情移入しやすくなったと思います。上野が出演だけでもドラマに活気が出てくるのに、それに森三中が絡むことで、静かな作品のなかに、のだめ風のドタバタと爆笑してしまうシーンを生み出しています。本作でも、上野ははつらつと演じ、主役を喰っていましたね。
 原作はどうあれ、ナオミがどうなっていくかという話よりも、麻子が、サバとの別れを超え、身に降りかかる大問題も乗り越えて、グーグーと共に暮らす新しい生活を始めるところを見たかったですね。
 麻子の恋もいまいち不完全燃焼。自宅まで連れ込んでいるのにねぇ。
 サバやグーグーの不妊治療したことの罪悪感と自身の病気がその報いかもと悩むところや、ネコの寿命の短さと、麻子の新作漫画のテーマになった「急激に老化する難病」との関わり合いなどにも触れてほしかったです。

 ところでこの作品には、もう一つの隠れた主役が潜んでいました。それは、原作者が暮らす「吉祥寺」。「吉祥寺LOVE」に包まれています。わざわざ英会話学校の外人講師がストーリーテーラーとして登場し、吉祥寺名所を英語で紹介しているほどです。外人講師は狂言回しのように画面に登場しますが、一切主役と絡みません。ただ麻子の夢の中では、なぜか死に神として登場します。その夢の中で、死んだサバは、女の子に化けて(^^ゞ麻子と対話しています。すごく不思議な感じがするシーンでした。
 あとは、井の頭自然文化園の動物たちも結構出ていましたね。ゾウの花子が何度も出てきたのは、何かのメッセージでしょうか?

 不思議と言えば、グーグーが外出して戻らなくなって、探し回る直美たちに声をかけるネコタロット占いのおばさま方。登場の仕方がオカルト的でした。
 いったん外出すると自由気ままなグーグー。きっと撮影も逃がさず撮るという作業を求められ、ネコ相手に大変だっただろうにゃ~。

 締めでフランス映画風に、グーグーをおしゃれに描いたところはよかったです。

追伸
 映画『眉山』でのしっとりした演出は、どこに行ったのか知らん?あるにはあったけれど・・・。

流山の小地蔵