「愛と命がけのスパイ活動」ラスト、コーション megu&m&bさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と命がけのスパイ活動
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「身も心も投じなければ、彼の信頼は得られない」
女工作員の命がけのスパイ活動中の言葉。
彼女の罠に見事はまった日本軍下高官。見せ掛けの疑似国家で、彼女の存在だけが男にとって信じられる唯一無二のものとなっていった。
映画はスパイ活動よりも二人の逢引きを中心に展開されるが、過激な描写ながらも、そこには常に緊迫感があり、快楽に溺れるというよりは痛みや悲しみを表現していると思われる。
愛する男の為と始めた工作活動であったが、いつしか愛してくれる男へと気持ちが変化する。女の性なのだろうか?
そして暗殺のXデー。不幸にもこの時女は愛されて罪悪を感じてしまう。生殺与奪。心は揺れる。男を見つめ、長い沈黙の後、囁く。
「逃げて・・・」
逃げ去る男をそっと尻目に、街を彷徨う女の姿からは、嫌というほどの絶望感が伝わってきた。
ラストは工作員達の処刑シーンで終わるが、ここはリアルで無くてよかった。女は充分苦しんできた。顛末は暗示するだけで伝わるではないか。
戦争という時代に翻弄された一人の中国女性の愛と悲壮の物語であった。
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