「色に戒められる。」ラスト、コーション ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
色に戒められる。
チャン・アイリンの短編を『ブロークバック・マウンテン』の
アン・リー監督が映画化したサスペンス・ドラマ。
最近の監督は"禁断の愛"がお得意のようだけど、今回はまた
過激な性描写を加えて、戦時下の抗日運動を繊細に描いている。
やたらボカシが入る^^;ラブシーン目当てでか?劇場は満席!!
私もつい息を呑んで観てしまったけれど^^;ロマン度は皆無に近く
過酷な運命を背負ったヒロインと仲間達の激しい描写からしても、
これは明らかに戦争映画で、愛よりも憎しみが先んじている。
トニー&ワン狙いのファンは大ウケしそうなカッコ良さだけど^m^
もともとタン・ウェイが演じるワン・チアチー(マイ夫人)は、
ワンが演じるクァン・ユイミンのことが好きで、その延長上で
抗日運動に加わったようなものだから、かなりの悲劇を予感する。
憎しみを持たない運動家が相手を殺せるはずなんてない。
敵組織のボス(トニー)に気に入られるため、色仕掛けで迫った
結果がだんだん深みにはまるにつれ、好きな男との距離も広がる。
一度目が失敗に終わって二度目、もうその時点で以前の彼女の
愛らしさが完全に失われており、やっと女スパイとしての任務に
実感を見出したところで、クァンが今さら愛の告白…なんてさぁ。
なーにぬかしてんだよお前、今ごろ!もう遅いわい!ってなもん。
まったく色男は、タイミングというものが分かってないよな。(汗)
ま…私の私情はいいとして^^;
逢瀬を重ねる度にボスの虚無な生き方に惹かれるマイ夫人だけど、
それはそれでとても理解できる。すべて嘘で塗り固められた世界で
唯一実感出来るのが、人肌のぬくもりだけになってしまったからだ。
変な言い方だけど、身体だけは嘘をつか(け)ない。ってやつ?^^;
結局は不倫という、公に出来ない間柄であり(妻は分かってるよな)
だからこそという気持ちもあるだろうけど、如何せん時代が時代で
切羽詰っているために、どこをとっても痛々しく感じられてしまう。
ホント、まさに色に戒められているという感じが圧倒的なのである。
ラストの悲劇は、そうなることが分かっていてもやはり辛かった。
…長丁場を、熱く演じ抜いた二人に大拍手。
(体当たり演技ってこういうことなのかしら。かなり痛そう~(+o+))