「チェスな気分に酔いました」相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン アマポーラさんの映画レビュー(感想・評価)
チェスな気分に酔いました
「劇場版」と銘打つだけあって、この映画では舞台(大画面)のパワーとダイナミズムがじかに伝わってくる。スケールアップ、という点では充分成功している。ストーリーもチェスにからめて知的に仕上がっている。話しの進行につれて、個性豊かな各人物像が自然に浮き上がるのも、また楽しい。
最強の右京と亀山を登場させるためには最強の殺人者が期待されるが、それも周到に用意した上で、この映画は世の中に様々なカタチの殺意や殺人があることを改めて我々に訴えかけてくる。恵まれぬ人たちのために奉仕したいと旅立った異国の地で理不尽に殺害されるわが子。そのわが子は国に見殺しにされ、世間(主にマスコミ)からもやがて抹殺される。最愛のわが子を殺した「真の犯人」を自分の手にかけてカタキを打ちたい。山口県母子殺害事件の本村さんでなくても、そう思わない親がいるだろうか。
最強の右京と亀山だが、いくらかの弱点がないとはしない。飲み屋の場面だ。刑事モノではよく見かけるシーンだが、いくら気心が知れていても(いくら娯楽性重視の物語でも)、飲み屋の女将の前で事件の重要なポイントに言及するのはいけませんね。あれは、いけませんの中で一番いけません。それから、副題にもなっている「東京ビッグシティマラソン」だが、マラソンをかじる端くれとして言わせてもらえば、スタジアムに陣取る見物人たちの態度が気にいりません。古すぎるギャグで申し訳ないが、市民マラソンの見物人たちは、あんな風にいっせいに手を振ったり飛び上がったりしてハシャギませんから、残念!
コメントする