劇場公開日 1998年3月14日

「本当に007を観た!という満足感で一杯になりました」007 トゥモロー・ネバー・ダイ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本当に007を観た!という満足感で一杯になりました

2019年4月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

素晴らしい!完璧なジェームズボンドです
ケチのつけようもありません
見事としか言いようがありません
つかみのジェット機のシーン
そして東シナ海での中国軍機と英海軍艦船との交戦と沈没、ドイツ最大の港街ハンブルクで一番のホテルアトランティック、そしてサイゴンの超高層ビジネスタワービル
敵の秘密軍艦での最終決戦
畳み込むようなテンポ

舞台やテーマがすべて旬で新鮮です
しかも大ネタ
公開から20年以上経過しても未だに熱々なのです

冷戦後のロシアでの武器マーケット
メディア王の陰謀
統合ドイツの隆盛
中国の南シナ海南沙諸島の勝手な領有主張
中国軍機の異常接近行動
米国海軍最新鋭艦ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を思わせる敵のスティルス艦
中国の秘密情報部員
ベトナムの驚異的な経済発展

冷戦終了後の世界と今後を見通して、007が現代においてどうあるべきかを、高次の連立方程式を見事に解いて正解を導きだして、満点の解答を観客に提示してくれました

そのフレームワークのなかでジェームズボンドは期待する以上のアクション、ユーモア、色恋を果たしてくれます
それがマンネリを感じさせないお約束として満足感をもたらしています
監督交代が新味をもたらしている効果もあります

その上とにかく音楽が素晴らしい!
まず主題歌が歌謡曲のような懐かしいメロディラインでありながら音自体は現代風
それは劇伴も同じでどこか古風ながら耳新しくゴージャスなのです
本当に一新されたと音楽にも満足です

ますます次回作が楽しみです!

英海軍フリゲートの沈没水域は米軍のGPS地図では沖縄の南西の水域で宮古島の沖合いですが、映画の展開から沖縄をルソン島に読み変えると全て辻褄が合います
沈没水域は今まさに紛争になっている南沙諸島の海域そのものなのです

ライター陣の慧眼というべきか
四半世紀経っても一層悪化したと言うべきなのでしょう

ボンドガールの中国秘密情報部員は従来作までの女殺し屋との統合をしたものでお見事
お約束のカンフーアクションも見せてくれます
敵ボスがそれをからかうシーンも最高です

冒頭のMと英海軍の偉いさんとの肝玉の会話もいい
いけすかない女上司のMがボンドに頼り切っていたり、マネーペニーが前作から修正されてボンドと同年代になって性的な軽口を言える仲に進展させているのも嬉しいところ

本当に007を観た!という満足感で一杯になりました
エンドロールの最後に007シリーズの産みの親の製作者ブロッコリーの死去を悼んだ献辞があります
この素晴らしい出来映えなら彼も草花の陰で大満足していることでしょう!

あき240