劇場公開日 2008年12月20日

「邦画における娯楽作品の新しい幕開け」K-20 怪人二十面相・伝 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0邦画における娯楽作品の新しい幕開け

2010年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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舞台設定の巧みさやK-20のダークさなど「Vフォー・ヴェンデッタ」を想わせるが、導入部のCGによる引き込みが巧く、物語も政治的な絡みがなくすっきりとして明るい。
謎の怪人、それを追う名探偵、犯人にでっち上げられた主人公は軽業師、そして本当の世の中を知ろうとする財閥のお転婆娘。しかも彼女の心は名探偵と軽業師の間で揺れ動くときたら、面白いこと間違いなし・・・といいたいところ、なかなかそうはいかないのが昨今の日本映画だった。
どうせまたショボいに決まってるなんて思ったら大間違い。導入部からしてスケールが違う。しかも、シネスコのワイド画面。佐藤嗣麻子という監督さん、ものの見事に覆してくれた。世界観の演出といい、主要人物の絡みからラストのどんでん返しまで、根気よくていねいに作りあげている。息切れがない。CGの使いこなしといい文句なし。
個人的には天才からくり師・源治(國村隼)の役どころが好きだ。彼のこじんまりとした作業場も雰囲気があっていい。彼の妻役、高島礼子も彼女の持つ明るさが活きている。
日本でもこんな愉快な冒険活劇がまた作れるということを証明してくれた。邦画の新しい幕開けだ。私が子供の頃は、こんな風に理屈に囚われない映画が多かったんよ。

p.s. 昨年の「スキヤキ・ウエスタン」もシネスコ・サイズで作られ、話も荒唐無稽で楽しめた。「ドラマとコメディはいいけど娯楽作品がねー」というのが昨今の邦画に対する評価だった。「スキヤキ・ウエスタン」に続きこの「K-20」によって、今後の娯楽作品の水準が上がることは間違いない。

マスター@だんだん