劇場公開日 2008年9月13日

「小学生の時に映画館で観た記憶があった。 和製ティンバートンっぽい世...」パコと魔法の絵本 じぇんぬさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0小学生の時に映画館で観た記憶があった。 和製ティンバートンっぽい世...

2023年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

小学生の時に映画館で観た記憶があった。

和製ティンバートンっぽい世界観かつ、個性派俳優だらけのCGアニメーション掛け合わせ、闇鍋のような作品でした!!!

当時も今も、世界観がエキセントリックでバッドトリップする映画だなと思いつつ
裏テーマがあまりにも出来過ぎていて、それに気がつけた自分は「大人になったな…」としみじみ。(これが映画の意義だよな…)

意外と関係性が複雑、過去と現在を行き来するがゆえに子供にはテンポ感が早いけど、
老害じじいの大貫と、記憶が1日しか持たないパコの心のつながりは分かりやすく”道徳の教科書”として素晴らしい。

子ども向けの作品のくせに、昭和ネタというか、4,50代にドンピシャな小ネタが盛り込まれてるところからすると、子どもと同席した大人向けのメッセージも強いなと思う。

特に妻夫木聡演じる精神疾患患者が”自分の意思に反して体が大人になってしまう”という成長への恐怖を持っている点が面白い。

そう思うと、登場キャラクター全員が自分の個性を大切に、正直に生きている作品なので
そりゃストーリーを整理整頓できるわけねえんだよね(笑)

監督は「下妻物語」や「告白」、「嫌われ松子の一生」「渇き」を手掛けている方で
コメディ・ヒューマンは日常とファンタジーのバランスがよくて現実味のないミュージカルっぽさもある個性華仕上がり。

スリラー路線は小説の世界観を大切にして、緊張感が張り詰めるイメージ。
映像で真実を語らせるので、独特の間があります。

今作に関しては平成初期特有の雰囲気なので、もうこの先こんな作品は登場しないかもですが、見返すたび子供の頃に戻れる1本になりました。

二ノ前