「【”この子の心に居たい・・。”偏屈老人が事故による前向性健忘の女の子パコと出会った事で、心を入れ替えるお話。極彩色仮装大会映画。仮装した全キャストの指名が分かった人は、凄いです。】」パコと魔法の絵本 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”この子の心に居たい・・。”偏屈老人が事故による前向性健忘の女の子パコと出会った事で、心を入れ替えるお話。極彩色仮装大会映画。仮装した全キャストの指名が分かった人は、凄いです。】
ー 中島哲也監督は「来る」以来、映画を公開していない。初期作品の極彩色、不可思議ワールドは魅力的であった。今作は、その最終形かもしれない。ー
■患者のみならず医師も看護師も変わり者ばかりのとある病院。
その中でも飛び切りの偏屈な老人・大貫(役所広司)は、ある日事故の後遺症で記憶が1日しか持たない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン:当たり前だが、可愛い。その後「響-HIBIKI-」で復帰。)と出会う。
些細な誤解からパコを引っぱたいてしまった大貫は、初めて自分の行為を後悔し、彼女のの愛読書の絵本の演劇をしたいと、病院の今まで尊大な態度で接して来たキャラの濃い患者たちに頭を下げるのである。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・十数年振りに鑑賞したが、中島哲也監督ならではの極彩色、不可思議ワールドが全展開されている作品である。
・役所広司を筆頭に、現代邦画でも名だたる主役級俳優達が物凄い仮装メイクで熱演している。
ー 妻夫木聡、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、國村隼など、滔滔たるメンバーである。
■好きなシーン、幾つか・・。
・土屋アンナ演じるゴシックパンク看護婦(ピッタリである。)が、元子役だったが大人になり売れなくなって精神を病んだ男(妻夫木聡)の事が、小さい頃に好きだった事を、荒っぽく話すシーン。
で、男は微かな希望を持つのである。-
・大貫が、涙を流す中、言われた言葉。
”一杯泣けば、涙は止まる。”
・医者(上川隆也)が”もう、生きているのが不思議な位なんです・・。”と言うシーン。誰もが、”演技の練習中に胸を抑える大貫の事だろう。”と思うのだが・・。
<ハチャメチャな映画に思えるが、実は随所で人間の善性を描いている作品である。
特に、横暴な大貫が、前向性健忘のパコが唯一、大貫が頬を触った(最初は誤解ゆえに叩いてしまうのであるが。)事を覚えていてくれることに驚き、自らのそれまでの言動を反省するシーンやラストの哀しきシーンは良く覚えていた作品である。>