「こんなに美しい涙を見たことがない」容疑者Xの献身 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに美しい涙を見たことがない
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原作も非常に良くできたライトミステリですから(誉め言葉ですよ!)、
トリックや仕掛けなどは「お粗末さん」なのですが、
この作品のテーマはそこではないのですね。
殺人もの、ミステリものに擬態した、人間ドラマが主題です。
タイトルどおり、「容疑者X」(2名ほどいますね)の計算しきれぬ「献身」、そこへ至る心の動きと
ラストシーンのあの美しい涙が胸を打ちます。
(だからとて殺人が肯定されるべきではないのだけれども。そこはライトミステリですので)
映画ならではの、登山シーンをわざわざ挿入したのは、台本上は蛇足なのですが、(妙なミスリードを生み出してしまっている)
原作にはない、美しい、映画力を持たせることに成功していると思います。
また、堤真一氏の身体性にも良く似合っており、逆に、彼の演技力には絶妙な巧さがあります。
原作を読んでいると、彼は一見、ミスキャストなのですが、そこを必然的に納得させるだけの
演技力には脱帽しました。その圧倒的な力があって、初めて、天才同士の対決という構図、そして、
福山雅治氏との対峙する絵が成立するのですよね。
素晴らしい監督力だと思いました。
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