「純愛が生んだ渾身のトリック」容疑者Xの献身 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
純愛が生んだ渾身のトリック
"ガリレオ(劇場版)" シリーズ第1作。
フジテレビでの地上波初放送を鑑賞。
原作は既読、テレビシリーズも視聴済み。
明るくポップな演出が光っていたテレビシリーズとは打って変わって、エモーショナルな静謐さが漂う重厚なミステリ映画となっているのが本作の大きなポイントであろう。
原作の持つ雰囲気がきちんと守られていて好感が持てた。テレビシリーズみたいに、謎が解けるとめったやたらに数式を書き始めるシーンが一切無いのも良い差別化だった。
天才物理学者・湯川学と、彼が唯一本物の天才だと認めた数学者・石神哲也。ふたりの天才が繰り広げる頭脳戦をスリリングに描くと共に、石神が愛する女性を守りたいが故に生み出した渾身のトリックが、止めどない涙を誘う。
映像になった途端、石神の抱く想いが画面から溢れ出して来るかのように刺さった。堤真一の演技も相まって、単なる推理物に留まらない豊潤な人間ドラマが生まれ、心揺さぶる。
理論的思考を重んじていたはずの石神が非論理的な「愛」に突き動かされ、その頭脳をトリック考案のために働かせてしまったと云う悲劇。石神の心情を理解しようとしていた湯川の姿に、推理機械ではない人間らしさを感じた。
原作を読了時は中学3年生。予想を裏切る真相に驚愕したものの、愛に関してはまだまだ理解が足りていなかった。
時が経ち、本作を何度も観る内に、石神の想いがだんだん理解出来て来たような気がする。これほどまでの純愛とは。
愛は人を強くする。良い方にも悪い方にも。そして、生きる力となる。想いが人をつくるのだと、しみじみ感じた。
ラスト、川からだんだんと遠ざかっていく画面と共に流れる「最愛」が切なくて、心に染み入って来るようである。
石神の心情に寄り添うような歌詞の重みと悲しげなメロディーが物語を補完し、最高の余韻を齎していると思った。
[以降の鑑賞記録]
2011/01/08:土曜プレミアム
2013/?/? :DVD
2013/07/06:土曜プレミアム
2019/09/09:Blu-ray
2021/07/18:Blu-ray
2022/09/24:土曜プレミアム
2024/03/23:土曜プレミアム
2025/09/13:土曜プレミアム
※修正(2025/09/13)
しゅうへいさま
17年遅れでレビューを書きました🙂
レビューの終わりに、鑑賞記録を追記していくの、私も同じです。
と言っても、レビューの数が二桁違い、百分の一も無いんですけど😗
原作の舞台のそばにすんでるので、川を渡って弁当買いに行って学校がこっちで、って「え?」って関係ないのに勝手に頭混乱させて読んだ記憶があります。確かラストのページ辺りで号泣描写があったような。中学三年生、、ですか。お若い!
さやかさんへ。
コメントありがとうございます。
「最愛」…名曲ですよねぇ…。私も観る度に泣いてしまいます。
原作も非常に想い入れがあって、好きです。初めて買ったハードカバーでした(笑)