劇場公開日 2008年7月19日

「子供が欲しくなる恐るべきアニメ」崖の上のポニョ cross yukiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供が欲しくなる恐るべきアニメ

2008年8月5日
PCから投稿

楽しい

興奮

幸せ

観てきました『崖の上のポニョ』。
僕的に、『もののけ姫』以降のジブリ映画の中で一番面白かったです。
そして も の す ご く 子 供 が 欲 し く な っ た 。

以下感想。

どこまでも続くアニヲタ坂を昇り始めた僕は、現在見事なまでに(調子乗ったアニヲタビギナーが陥りがちと思われる)「作画厨」と化しておりまして・・・。
『ポニョ』はまじ神作画の連続。ハンパない。
止まってる絵がほっとんどない!ループもほっとんどない!
とにかく全キャラの動きがめちゃくちゃ素敵です。陳腐な表現だけど、まるで生きているようだった。

子供の動き、台詞が可愛すぎる。尋常じゃない。
「大丈夫だよ、ぼくが守ってあげるからね」「ポニョ、宗介、だぁーいすき!」
セリフや詩とゆーものは、1.DQNなストレート表現→2.詩的な(回りくどい)表現→3.本質的なストレート表現、の順で魅力を増していくものだと思うけど、『ポニョ』内のセリフは、この中でいえば間違いなく「3」。

正直この2点、「動き」と「セリフ」だけで十分泣ける。
映画好きでよかったー!と思える。さいこう。

あと宗介のお母さんがセクシー。
ジブリ史上過去最高にセクシーなキャラじゃないかと思う。
女性の生っぽい感じがすごくよくできてる。
・・・でもこんな女の人は所詮、「男の作った映画」に出てくる「男の夢」だな。現実には一万人に一人もいないだろ、こんなよくできた女。

というわけで、総じてすっごく楽しい、ハッピーで感動する映画だっただけど・・・。
でもいくつか気になる点が。

一つは「男の不在」。
宮崎駿とジェームズ・キャメロンは、僕の中で2大「女がやたら強い映画」の監督なんだけど、今回の『ポニョ』もご多分に漏れず。
主人公の宗介は男の子だけど、もう一人の男性キャラ・フジモトは役割的にはただの物語の「駒」だし、映画内での権力は、(視覚的には違うけれど、実質)すごく小さい。
それに、宗介のお父さんの視点は完全に「物語の外側」からのそれだし、そういう描写を物語の合間合間に入れてくることで、意識的に「男」の存在を蚊帳の外にやってるんだよー、と宣言してる気がした。
これは想像なんだけど、宮崎駿は男の世界しか知らないんじゃないか。だから男に期待はできないと思っているし、女に夢を見すぎてるんじゃないか。と、そんな気がする。使いようによっては無限の可能性を秘めている、選ばれし男のスペシャルアビリティである「童貞マインド」が、悪い方に行っちゃってるように思える。
どういう意図があって男がこんなに弱いのか、僕には全く理解できないのでそこは×。

もう一つはエンドロール。
「この映画をつくった人」みたいな感じで、名前だけがバーっと出てきて終わり。
「監督」とか「原画」とか「動画」とか「美術」とか、役割の表記はまるでなし。
これは正直気味が悪かった。
「みんなで作りました」みたいな意図なのかもしれないけど、「みんなで同じこと」を「同じ量ずつ」やったわけじゃないんだから、このクレジットはおかしい。逆に不平等だろ、こういうのは。
共産主義的なものを感じた。気持ちが悪いのでやめてほしい。

以上、感想でしたー。
なんか宣伝ではストーリーがわからないのでイマイチ観る気がしないという意見が(僕の周りでは)多いのですが、悪いことは言わん、観とけ。
僕的には3,000円払ってもいいと思ったわ。

cross yuki