「難解の理由は・・・」崖の上のポニョ 蛇足軒瞬平太さんの映画レビュー(感想・評価)
難解の理由は・・・
内容が難解とか周囲でよく耳にする。
その大きな要因は
宗介母とポニョ母が2人で話すシーンで
はないだろうか。
通常の展開だと謎解きの場面あるいは起承転結の
結へ一気に向かう場面である。
ここはおそらく
ポニョの意志通りにさせてあげたいポニョ母と宗介母は
その為のリスクに対して協力ができるとかできないとか
絶望の海から、希い望みはある人間界へ行かせてあげたいとか
やっぱり難しいとか・・・話していたのだろう。
ここを{観客に見せない}という事は
希望に包まれた新品でまっさらの人間社会(ポニョ&宗介目線の人間社会)を
子供達に提示したい。
{観客に見せる}という事は
くたびれた中古品の人間社会(母目線の人間社会)を
彼ら&観客に露呈させてしまう(現実はそうなのだが・・あくまでも
晴れやかな希望を子供たちに提示する為に・・)。
というストーリーが不透明になる事よりも
メッセージを明確にさせるという作者の強い強い意志が
感じられる。
神経症と不安が充満する世の中へ愛するわが子を
生かせたくない、かといってオン・ザ・エッジ(崖の上)の現状にも
戻したくは無い。子供や社会を自立させるには
避けて通れない。
そんな事を2人の母は話していたのかも知れない。
少し失言すれば袋叩き
遊びが過ぎれば袋叩き
ちょっと目立てば袋叩き
問われているのはポニョの天真爛漫さではなく
宗介の強さでもない。
それを受け入れる周りの住人の寛容さが大波小波の
荒ぶる魑魅魍魎たちを納得させる唯一の方法ではないのか・・・・・
そして63年前の今日、やはり絶望と希望の境界の
崖の上で
その行方について長い長い議論をしていた人たちがいた。
何の為に?
僕たちの為に・・・・・・?
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