「海堂尊は凄い!」チーム・バチスタの栄光 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
海堂尊は凄い!
なにしろ原作は現役医師でもある海堂尊氏の“このミステリーがすごい!”大賞作品。緻密な心臓外科手術の描き方、特に専門分野の異なる医療のチームワークや生々しさなど、外科医じゃないとわからない現場の雰囲気が伝わってきました。ソフトボールの試合など、余計と思われる部分にも製薬会社の付き合い方、厚生労働省の役人に対する媚びへつらい方など、見事に描いてありました。
27連勝中だったバチスタ手術の医療チーム。桐生医師(吉川晃司)がアメリカから呼び戻され助教授となり、義理の弟鳴海医師(池内博之)が外科医から病理医に転身しながらもよきサポーターとなっていた。失敗が続いたため調査を依頼された田口医師(竹内結子)が調査中、医療事故ではなく殺人なのではないか?と示唆される。
さすがにキレ者の厚生労働省役人の白鳥(阿部寛)が登場すると、静かに展開する医療ミステリーもコメディタッチとなってしまい、興ざめしながらもお調子者に負けるな!と、結子ちゃんを応援してしまう。厚生労働省はとにかく問題が多い。診療報酬改定のため医者不足にもなり、やれ医療ミスだのと患者側からも叩かれる医療業界は板挟み状態だ。しかし、ドラマは白鳥の痛快な推理によって・・・
途中、な~んだ、そういうことか・・・という展開に、ブラック・ジャックなら平泉成がこっそり手術室に入っていたように、見守ってるはずだぞ!などと、どうしても手塚治虫をイメージしてしまうのです。しかし、ここでは終わらない。どんでん返しも心地よく決めてくれた。そして、白鳥の嫌味な一言にカチンとくれば、現場が中心であるべきはずの医療がお役所によって管理されている現実に納得できるはず。
気になるのは山口良一がワンマンバンドで演奏していた「レモンティ」という曲。シーナ&ロケッツの曲としても有名ではありますが、元はヤードバーズやエアロスミスの「Train Kept A Rollin'(邦題:ブギウギ列車夜行便)」として知る人ぞ知るロックの名曲だ。エンドクレジットでしっかりと作曲:鮎川誠となっていたのには驚いた・・・
【2008年2月映画館にて】