「人生を彩るものは1つじゃ足りない」最高の人生の見つけ方(2007) ミルズさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を彩るものは1つじゃ足りない
余命宣告を受けた2人の老人が死ぬまでにやりたい夢を実現する旅に出る話。
まずキャラクターのバランスがとても良い。
短慮で享楽的だが行動力に溢れる無神論者の富豪と、信心深く理知的だが保守的な自動車工という
対極的な2人が、互いに影響を与え合いながらの
旅行きはシンプルに見ていて楽しかった。
また、富豪の秘書がとても良いキャラをしている。
有能だが慇懃無礼な皮肉屋でエネルギッシュな若者でもある。
唯一とも言える富豪の理解者の立場にあって、
対極な2人の間で上手く緩衝材となっている。
終盤にはとても大きな役割を果たすこともあり、
この映画で最も好きなキャラクターだった。
ストーリー的には荒唐無稽になりかねない設定を、余命わずかな者同士という大きな共通点が
自然な形で繋いでおり、無理なくストーリーを
成立させていて肩肘はらずに楽しめた。
また死を前にした人間が考える宗教観が
大きなテーマとなっている様に思われる。
富と引き換えに家族も友人も得られずに
無神論者となった富豪に、
自動車工が旅の中で様々な宗教における死生観を
教授しながら、互いに人生の終えかたを考えていくそのプロセスは見ているものにも
考えさせるものが多かった。
その本質も知らずに高級なコーヒーを好んでいた
富豪の最後の選択と、絶景を背景にした
エンディングはとても爽やかで
見終えたあとはとても清々しい気持ちになった。
総じて、笑って、感動して、考えさせられる
素晴らしい映画でした。
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