劇場公開日 2008年2月9日

「【”ESARIHTUL・・”脳梗塞で全身麻痺になった男が、左目だけで意思疎通をする姿。今作を契機にフランスの名優の一員になったマチュー・アマレリックを知った作品。】」潜水服は蝶の夢を見る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”ESARIHTUL・・”脳梗塞で全身麻痺になった男が、左目だけで意思疎通をする姿。今作を契機にフランスの名優の一員になったマチュー・アマレリックを知った作品。】

2021年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 42歳の働き盛りで、脳梗塞により全身麻痺になった男の絶望感は想像も付かない・・。だが、彼はそんな環境下でも、生きることを諦めずに著作を発行したのである。
 この映画を観たのは、10年以上前であるが、困惑的な邦題に惹かれて、何気なく鑑賞した。
 が、一気に引き込まれた・・。-

・フランスの有名な雑誌の重責にあった男(マチュー・アマルリック)が、ある日突然病で倒れる。
 - 映画では、序盤はマチュー・アマルリック演じる男の姿は映されず、彼の視野から見える風景と外部の音声、そして、彼の脳内モノローグで物語は綴られる。-

・女性診療士が、フランス語で最も良く使われる単語を”呪文のように”早口で語り、男は”Yes"の際は、瞬き一つで意思疎通をする。
 - 物語は、男が健康だった頃を、挿入しつつ、左目しか見えない姿を映しながら進む。ー

・身体が不自由になった父を、元気だったころの男が髭を剃ってあげるシーン。その後、その父から身体が動かない息子に掛かって来た電話。
 - 人生、何があるか分からない・・、と初見時に思ったシーンである。父の言葉が心に響く。-

<今作で、マチュー・アマルリックは殆ど、左目とモノローグだけで、演技をしている。
 そして、彼を支える女性診療士の姿。
 明日、何が自分に身に何が起こるか分からないから、元気な日々を悔いなく過ごそう。
 そして、万が一異変が起こったとしても、最後まで自分の意思を貫き通そう、と思った作品。>

NOBU