「ベタな涙ものとは少し違う」P.S.アイラヴユー きばこさんの映画レビュー(感想・評価)
ベタな涙ものとは少し違う
いやー、泣けた。びっくりするぐらい泣いた。
基本的に好きな人が死ぬという設定だけで泣けるし、それは映画の出来の良さとは無関係だと思う。
しかし、この映画をきっかけに私はあることに気がついてしまい、映画そのものというより、それに号泣してしまった。
それは、当たり前だが、今側にいる人とは必ず別れの時が来るということである。
しかも普通に考えれば、ほぼ確実にどちらかが先に死んでしまって、どちらかが残るのである。
「世界の中心で〜」然り、恋人の死がドラマチックに描かれた話は今まで何度も観てきたが、恋人が自分を置いて先に死ぬなんて、お話の中のことだと思っていた。
また、亡くなった恋人は、その後も主人公の心の中に生き続け、いつも側にいるのだろうと思っていた。
しかし、この映画を観て、そのどちらもが裏切られた。
この映画の主人公は、「死んだ恋人は、もうこの世界のどこにも居ないのだ」ということを悟って、そこで初めて前を向くことが出来るようになる。
なんて現実的で悲しくて、説得力があるんだろうと思った。
そして、恋人が死ぬということがリアルに感じられた時に、急に、自分にも遅かれ早かれこのようなことが起こるのだと気がつき、もの凄い衝撃を受けたのである。
どうして今まで気がつかなかったのだろうと。
この映画を観たのは結婚直前のタイミングだったが、夫と過ごす時間の考え方について、大きく影響されたように思う。