「選ばれた監督にだけ許されるわがまま大作」スピード・レーサー かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
選ばれた監督にだけ許されるわがまま大作
稚拙自ブログより抜粋で。
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原作である日本のアニメ版は資料通りだとギリギリ筆者が産まれる前に放送されていたものなので、少なくともリアルタイムには観ていないのだが、子どもの頃に改造車によるレース・アニメは観た記憶がおぼろげにあるので、ひょっとしたら地方で遅れて放送されていたか、再放送で観ていたかもしれない。
ということで、実質的に日本原産であることへの思い入れは皆無で本作を観た。が、めっちゃ楽しかった!
まあ正直な話、内容は薄い。もっともらしいテーマもやってるけど、そんなことより、とにかく楽しい映画にしようってのが命題でしょ、これは。
最初のレースシーンで掴みはOK。案外長い上映時間に延々とレースシーンばかりだとさすがに辛いかと危惧したが、中盤の乱闘シーンでのめちゃくちゃっぷりに「もう監督、あんたの好きにして!どこまでもついていくわ」とばかりに惚れ込んだ。
これはね、理屈でどうこうより波長が合うかどうかが評価の分かれ目の、ある意味で官能映画だわ。
今年、観賞中に気分の悪くなる人を続出させた某アメリカ映画が「アトラクションタイプの映画です」などと言い訳がましいことをほざいていたが、あんなカメラがぶれてるだけでちっとも楽しくない映画なんぞより、これこそアトラクション映画って感じで、監督たちが楽しんで作ってるのが伝わってくるような躍動感に心酔させられた。
そういう意味では『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年)でアカデミー賞を総ナメにして世界の巨匠の仲間入りをしたピーター・ジャクソン監督が、念願の映画化を果たした『キング・コング』(2005年)の溢れんばかりの溺愛ぶりとダブる。
これらは選ばれた監督にだけ許されるわがまま大作なのだ。