「ひょっとしたら大傑作になってたんじゃ……」ウルヴァリン:X-MEN ZERO 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ひょっとしたら大傑作になってたんじゃ……
ローガンとエドガー(修正:ビクターでした……)の兄弟関係。
思うに本作で一番勿体無いのは、重厚で魅力的なドラマに成り得たこの要素を、裏が透けて見えるほど薄っぺらに描いてしまった点か。
複雑な家庭事情は殆ど語られず、度重なる殺戮で擦り減らされた精神が兄弟の溝を深めてゆく描写も超薄味。『2』で垣間見られたローガンとストライカーの疑似親子的関係も完全に無視されてるし。
この映画、作りようによっちゃとんでもなく深みのある傑作になってたのかもしれないなぁ。
そう考えると残念至極。
だがまあそういう要素をいちいち描いたら3時間超の大作になっちゃうだろう。本作の良い所はドラマと高水準のアクションが程よく絡み、ドラマ部分でダれる事が無い所。そういう意味では、実はこれくらいの薄味ドラマが純エンタメ映画としてはうまい配分なのかも。
実在の戦争や“あの島”など、史実とフィクションを巧みに絡ませるアイデアも心憎いし、新ミュータントもわんさか出て楽しい。いちいちカッコいい“ガンビット”や「テメェ反則じゃねえか!」てくらいに強い“ウェポンXI”はシリーズ中屈指の強烈キャラだ。
『1』『2』ほど作家性は無いが、監督交代で味気無くなった『3』より格段に好きだ。
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