「実はバディもの」消されたヘッドライン かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
実はバディもの
自ブログより抜粋で。
--
いろんな人間関係や思惑が入り乱れる重厚な推理劇の割には、キャラの立たせ方やストーリー展開が巧いので混乱せずに観られて見応えもたっぷり。二転三転する真相に何度も驚かされるテンポの良いエンターテイメント作品として楽しめた。
ただ予告編などではアメリカの裏側で暗躍する強大な力と新聞社の対決という点をアピールしているが、辣腕新聞記者が新人女性記者と組んで締め切りまでにスクープを挙げようとする業界もの映画として捉えた方がいいように感じた。
予告編から抱いたイメージ通りに、話は底知れぬ恐ろしさを醸す民間軍事企業との対決を中心に展開するのだが、社会派映画のようなものを期待すると最終的な意外な落としどころにがっかりするかもしれない。
実のところ現場叩き上げ記者を絵に描いたようなカルと時代を象徴するWEB版(言い換えるとブログ版)を担当するひよっこ記者デラの“バディもの”としての掛け合いの方がこの映画のテーマを代弁していると言え、国家をも揺るがしかねない大事件が一件落着してエンドロールが流れ始めたそのバックの映像から受けた、事件解決の安堵感とは裏腹の寂寥感にもそれは伺い知れる。
この『消されたヘッドライン』の原題“STATE OF PLAY”とは「現状」という意味なんだそうだ。現状、すなわちここに描かれているのは過去と未来の狭間なのだ。
新聞が、ひと頃IT革命ともてはやされた時代の流れの中で、紙媒体から次世代のメディアに替わろうとも変わることのない、変わってはならない真実を追う姿勢。
いろんな要素を内包したこの映画が、最終的に描こうとしているのは報道メディアとしてのその姿勢なんだろう。