「ヘッドラインは消さずに欲しかった」消されたヘッドライン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ヘッドラインは消さずに欲しかった
2003年のBBCのテレビドラマ・シリーズ「ステート・オブ・プレイ陰謀の構図(全6話)」(日本でも2008年10月にNHK-BS2にて放送)のアメリカ版リメイク映画。
今どき、こんな正義感の強いジャーナリストは嘘っぽいと思ったのだろうか、ラッセル・クロウはまるで70年代のヒッピーもどきの風体で時代に取り残された青臭さを醸し出そうとしているのだろうか、どうにもむさ苦しさが先に立つ。それに引き換えベン・アフレックは見た目も若手政治家、大学時代の親友と言うにはやや違和感(実際にベンはラッセルより8才も若い)。大学時代にロビン・ライト・ペン(ベンの奥さん役)との三角関係もあったようだ。その辺はハードなサスペンス感を和らげるための主婦層向けのよくあるサイド・ストーリー、味付けと看過した・・。
結びつくはずのない事故と事件がやがて国家を揺るがす疑獄事件の様相を呈してくる展開はまさに上質のサスペンスなのだが・・。どういう訳か友情と真実の狭間に揺れる葛藤の物語に一転、如何にもテレビ・ドラマっぽいお湿りなのだがリメイクにあたっては、ヘッドラインは消さずに国家を食い物にする巨大軍事企業に対峙する硬派な路線で押してほしかった。
まあベテラン揃いのサスペンスなので久しぶりにワクワクしました。新聞社ものならメリル・ストリープのはまり役なのだろうがヘレン・ミレンさんもメディアの商業化一色の現実、時代に翻弄されるボス役を好演していました。気骨あるジャーナリストは映画の中だけにとならない時代を願うばかりです。
追記
当初、カル・マカフリーの役はブラッド・ピットだったが降板、脚本家組合のストライキもありスケジュールは混乱したようだ。ラッセル・クロウの長髪は同時期の「ロビン・フッド」の役作りで切れなかったようです。