「ようやく、観た」ダークナイト CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ようやく、観た
ようやく。だから、大枚はたいてIMAXで、観た。いまみんなIMAXか。
テロリストによるオペラハウスの襲撃、突入する特殊部隊との銃撃戦、わけわからないが、凄いなこのオープニング、と思っていたら、なんということでしょう。近日公開予定「TENET」のプロモ映像でした。ついのめりこんでしまっていたじゃないですか。なんということでしょう、恐るべし、IMAX。
と、鑑賞前に少しだけエネルギーをとられましたが、あらためて、ようやく観ました、ダークナイト。
ようやく観た、と書いたのは、2008年公開の作品を今頃観ているから。同じノーラン監督の「TENET」公開にあわせてIMAXでリバイバル上映してくれているおかげ。これだけ評判がよかった作品なのに。ここらへんが、劇場でしか観ないスタイルの弱い所。
その代り、もはやネタバレせずに観ることは不可能と割り切って、みんなのレビューを読みまくってから観ました。結果は、よかった。おもしろかった。ネタバレしているから、公開当時にみんなが味わった、「この結末なのか」という深い衝撃はないんだけれど、自分としてはかえって結末に向かって観ていけてよかった。
素人の自分は。ダークナイト=暗い夜、つまり "暗黒のゴッサムシティ" という意味だと勘違いしてた。ダークナイト=暗黒の騎士(の誕生)、が正解だったのね。それが本作の結末だったということが、気持ちよく腑に落ちた。
前半及び中盤2/3までは、迫力はもちろんあるのだが、原作がアメコミなためかシナリオにちょっとだけ鼻白む部分も少しはある(「ビギンズ」をまだ観ていないからかもしれない)。だがそんな俺でも、後半1/3は、そんな印象を軽く吹っ飛ばす絶望の津波だ。
いつもはヒーロー側にある "都合のよさ"。相手の弾丸は当たらない、自分の弾丸はよく当たるといった類の。それが本作では、悪役側にある。つまりジョーカーが持っている。コンボイ(大型トレーラー)は好きな時に好きな数だけ運転手含め調達できるし、爆弾はいつでどこでも仕掛け放題、爆破し放題、敵地に入っていってもなんらかの理由で撃たれない、とかね。そうやって、悪役側に都合よさをフルに配置されたら、どんな絶望的な映画になるかを、本作は実践して観せている。そんな設定を、嘘くさくなく見せるのは、作る側の技術だろう。本作での悪役ジョーカーに、ヒーローに与えられる境遇を与え、それによる絶望感あふれる展開を、息つく暇も与えずに次々と見せていくスピード感は、まさにノーラン監督の腕だと思う。
ヒーロー側の特権を裏返して悪の側に移すだけで、こんなクールな映画になるということには、ほんとうに驚いた。クールと言っても、絶望感、無力感にあふれるクールさ、ダークさと言うべきなのかも知れないが。
本作を観た人たちから、「"JOKER" という作品に対して違和感があるという意見が多いこともわかる気がする。本作でのジョーカーの全知全能感と "JOKER" におけるジョーカーの悲壮感が一致しないんだろうね。
たしかに両者は全く別の作品として観た方がよいのかもしれない。ただ、「私利私欲を求めるのではなく、ただ無秩序であることのみを追い求めるジョーカーという人物が、どうできあがったのだろう」という目で観ると、本作と "JOKER" はよくつながっているようにも思うけどな。
追伸:ここからはネタバレがあるので、まだ観ていない方は観てからご覧ください。
終盤の2隻の船は、囚人含め人間の心の底にある光を描いて素晴らしい結末だった。自分は、「もしも "囚人側は押さず通常客側がスイッチを押す" という結末だったら、まさに暗黒極まれりだな」と、若干の身震いまでしながら観ていた。結果は上記したように "希望" だったので、俺の心も壊れずにすんだ。しかし、終盤繰り広げられる、絶望感、無力感の連続が、先に書いた絶望的結末すら想像させてしまうほど凄かったということなのだろう。
やはり本作の終盤1/3は、みんなが言うように、もの凄いできなのだと思う。
CBさん、コメントありがとうございます。
本当に今作のジョーカーはやりたい放題の、ヒーロー側の都合の良さを持ってますよね。
ヒース・レジャーの演技も相まって、伝説といっても過言ではないキャラだと思います!
コメントありがとうございます!
映画館で観て以来、一度も復習してないので、俺も暗闇と勘違いするほど忘れてました(汗)
当時はヒースレジャーの死という点でも注目されていたし、観客はみな泣いてました。
wowowで特集があるのでまた見ようかと思います・・・