劇場公開日 2010年4月10日

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「心に何かを残していく秀逸作」第9地区 銀平さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心に何かを残していく秀逸作

2011年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

難しい

まず初めに、この映画は、スプラッターやグロテスクな生物が苦手な人は見ないほうがいいです。
苦手じゃない人は、一度見てみることをお勧めします。
きっと衝撃を受け、記憶に残ることと思います。心に何かを残していく作品だと思います。

前半は、この映画の舞台(南アフリカ)がどういう状況にあるかを報道番組風に紹介するものでした。
ところが後半はもう、主人公(ヴィカス)の体がエイリアン化していく恐怖感に完全にのまれました。どこか「ザ・フライ」を思い出させるような感じでした。
エイリアンを虐げ、支配する人類。
人間がいかに自己中心的で、その内面には支配欲と残虐性が隠されているか、思い知らされるような内容となっています。

自分の身が人間に戻ることだけを優先していたヴィカスが、最後に、クリストファー・ジョンソン親子を逃がそうとする…。
あの場面は忘れられません。

自己犠牲の精神は、たとえ人間誰もが内側に持っていたとしても、それを実際に行動に移すことができるのは限られた人だと思います。

長い間母船が上空に留まっていたのは、指令船が落ちてしまったからでした。ラスト、指令船が上昇していくところは感動でした。

ヴィカスの妻(タニア)が玄関先に置いてあったというあの品。
あの最後のシーンは、とても切なかったです。

銀平