「主演女優のシアーシャ・ローナンに限る!」ラブリーボーン 凛々シストさんの映画レビュー(感想・評価)
主演女優のシアーシャ・ローナンに限る!
なんと言ってもこの映画は、主人公のスージーを演じたシアーシャ・ローナンに限りますね!
ジョー・ライト監督の『つぐない』で、若干13歳にしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたらしいですが、この『ラブリーボーン』で主演をはっている年齢も、まだ若干15歳でございます。
しかし一人、シアーシャ・ローナンとはる演技、というか、それ以上の凄まじい演技をした男がいました。
近所の住人で、スージーを殺すという役を演じたスタンリー・トゥッチ!
この人の演技が、もぉ凄いとかそういうのもあるんですが、引くくらいに気持ち悪い。
嫌悪感すら覚えそうな変質的人物を、見事に演じておりましたね。
まさに怪演!
思った以上にファンタジックな要素が薄いように感じましたね。
監督がピーター・ジャクソンなので、もっと壮大で幻想的なファンタジーだったりするのかなぁとか思いましたが、なんだかそれ程でもない印象。(映像は美しい)
それよりこれは、緊張感のあるミステリー要素の方がかなり強いように感じますね。
長回しとか、間とか、クロスカッティングとかの様々な映画的手法で、かなりの緊張感を生んでいたんじゃないかなぁと思います。
スージーは、トウモロコシ畑の中に掘った地下で、異常者とも言える男にレイプされて殺されたわけなんですけれども、度々出てくる名作著書や(その中には、トールキンの『指輪物語』も入ってたけど、これは『ロード・オブ・ザ・リング』の宣伝ですか?)トウモロコシ畑での異常犯罪で思ったんですけれども、コレって、先日残念ながら他界した、J・D・サリンジャーさんの『ライ麦畑でつかまえて』のオマージュなんじゃなかろうかと。
この『ライ麦畑でつかまえて』は、名著でありながら、ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンや、レーガン元大統領を狙撃した、ジョン・ヒンクリーの愛読書であり、そういった暗い部分を持っています。
つまり、スージーがジョン・レノンやレーガンであり、スタンリー・トゥッチが、マーク・チャップマンやジョン・ヒンクリーという解釈。
しかし、スージーは、社会対して大きな影響力を持った大人でもなければ、有名人でもないカメラ好きの恋する夢を持ったいたいけな少女でございます。
殺される理由がさっぱりわからない。
どう考えても、異常者による異常犯罪なんですよね。
こんなことがあってイイわけがない!
犯人は法によって裁かれるべきだと私は思うんですけれどもね…
しかし、両親の愛娘を思う姿、特にマーク・ウォールバーグのスージーを思う気持ち、また逆にスージーが父(家族)を思う気持ちには、同じく娘を持つ父親として、胸を打たれました。
泣きそうで泣きませんでしたけれども…
そぉ、泣けるほどの感動作というわけでも、正直ないんですよ。
全米だけで250万部も売れたというベストセラー小説の原作を読んでないのでなんとも言えないのですが、結局テーマが散漫で、やりたいことを詰め込みすぎたのかなって感じですね。
それでも、私は普通以上に楽しめました☆