「枯れるどころか作品に漂う艶っぽさは何だ!」チェンジリング 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
枯れるどころか作品に漂う艶っぽさは何だ!
昨今のイーストウッドブームには心のどこかで「何で今更…」感がどうしても付き纏ってしまう。
「昔からイーストウッドは面白い娯楽映画しか作って来なかったじゃないか…」って。
以前は全然、批評・興行面でいまいち“ぱっ”としなかったのに、ここ数年来は逆に「そこまで評価する程か?」等とついついやっかんでしまうのですが…。
素直に脱帽!これは良い。
単純に泣かせる感動作品になどしていない演出が実に小憎らしい。
この作品がアカデミー賞から弾き出されたのが信じられない。これは多分ですが作品を観ていたアカデミー会員全員が、終了後に…。
「あれ?ジョン・マルコビッチは真犯人じゃないの?」
「奴が出るなら犯人だろう?」
等と変に納得していないんじゃないか?…と。
何だかそれ以外に理由が思い浮かばない!
そしてほんの少しだけ再現させる、当時のロサンゼルス市街の風景を始めとする美術・衣装等と言った技術面も超一流の仕事振り。
これにイーストウッドの円熟に差し掛かった見事な演出力が加わるのですから。
イーストウッドって今何歳なんですかね?かなり高齢の部類ですよね。普通ならば枯れて来る頃なのに、まだまだ画面からは“艶”の様な匂いが漂って来るのだから…。
主役を演じていたのがアンジョリーナ・ジョリーだったのを差し引いてもちょっと異常ですね。
益々円熟度が上がっているって一体どうゆうこと?
この作品の内容等は、単純な話しではあっても決して2時間20分もの時間を、観客に退屈感を与えずに作品に没頭させるのは容易な事では無い筈ですよ。
でもイーストウッドってそれをいとも簡単にやってのけてしまうのですから…。本当に恐ろしいわ!
ところで、肝心の作品に於ける詳細に関する言及した感想を全然書き込んではいないのですが…もう必要無いっすわ。
とにもかくにもイーストウッドはん。あんた凄いわ!
(2009年2月26日 TOHOシネマズ日劇3)