「「事実は小説より奇なり」を地で行く話し。」チェンジリング 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
「事実は小説より奇なり」を地で行く話し。
1928年、ロスアンゼルスで実際に起きた出来事。ちなみに“チェンジリング”とは、“フェアリーなどの伝承の生物と秘密裏に取り替えられた子供”と言う意味。ヨーロッパなどで、広く伝承されてきた話だそうです。
20世紀初頭のアメリカの司法・警察機関って、どこも腐敗していたんですね。FBIもそのころは、BOIと呼ばれていたりしていましたが、腐敗しきっていて、ジョン・エドガー・フーヴァーが登場して、その腐敗を一掃したりするんですがね。(もっとも、ジョン・エドガー・フーヴァーの時代が長くなりすぎて、その後半には彼が居る事による腐敗があったりもするんですが。)
さて、映画の話。最初にこの話が来たとき、アンジェリーナ・ジョリーは、「自分の子供に同じことが起きたらどうだろうか?」と言うことを考え、クリスティンを演じる事を躊躇したらしいですが、最終的にはクリスティンの力強い生き方に共感して出演する事にしたらしいです。そして、その彼女の演技は非常にすばらしいですね。実際に子供が居る事が、自分の一人息子の無事を案じる母親の姿を演じるだけでなく、子供を失った母親の辛さをある意味“実体験”させ、この演技に通じたのだと思います。その他、グスタヴ・ブリーグレブ牧師を演じるジョン・マルコヴィッチや、クリスティンを苦しめるJ・J・ジョーンズ警部役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンが監禁された精神病院で彼女を励ますキャロル・デクスター役のエイミー・ライアンなど、いろんな俳優・女優がいますが、アンジーの演技に勝るものは無いですね。
映画で見るべきは、20世紀初頭のロスアンゼルスが見事に画面に再現されていた事。もちろん、いまのロスアンゼルスには市電は走っていませんし、ダウンタウンは高層ビルばっかり。ロスアンゼルス郊外などで、当時の雰囲気を持つ街を見つけ撮影したそうです。車のT型フォードなどが走っていたので、これも実走可能なT型フォードを見つけてきたんでしょうね。
それにしても、こんな出来事が20世紀のアメリカで実際に起きていたとは驚きです。実際の出来事なので、必ずしもエンディングがハッピーとは限りませんが、非常に印象に残る映画です。