「すばらしき父さん狐」ファンタスティック Mr. Fox 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
すばらしき父さん狐
「ムーンライズ・キングダム」が公開間近のウェス・アンダーソン監督によるストップモーション・アニメ。
ロアルド・ダール作「すばらしき父さん狐」の映画化で、「チャーリーとチョコレート工場」もダール作。
「チャーリー〜」はファンタスティックながら毒気たっぷりだったが、本作も然り。
そこにアンダーソン独特のユニーク演出がプラスされ、一風変わった作品に仕上がった。
かつてニワトリ泥棒をしていた新聞記者フォックスは、憧れの木の上暮らしを実現させる為、傲慢金持ち農場主からニワトリを盗み出すが…。
主人公をキツネに置き換えた動物vs人間の話だが、実際は貧乏vs金持ちの構図で人間社会を風刺。
穴暮らし(=貧乏)から木の上暮らし(=裕福)へ…今よりもっとイイ暮らしをしたいと人間誰でも思う。同時に、今の暮らしが案外満ち足りているのに気付いていなかったりもする。世の中そんなもんだ。
デブ、チビ、ヤセの傲慢金持ち農場主。私腹ばかり肥やし、世間を見下している奴ら、いるいる。
きっと動物たちから見れば、人間なんて皆、傲慢なんだろうなぁ。
ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープらビッグスターたちが声を担当。
クルーニーのアノ人気映画をぼんやり彷彿させる作戦や計画にニヤニヤ。
ストップモーションのちまちました動きも素朴でイイ。
動物ならではのちょっとした習性や仕草が可笑しさを誘う一方、私欲に走る愚かさを、チクリと皮肉とシュールで包む。
そして気付かせてくれる仲間や家族の絆。
楽しさと教訓の秀作アニメーション。
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