「ダール節、炸裂!」ファンタスティック Mr. Fox キューブさんの映画レビュー(感想・評価)
ダール節、炸裂!
これほどシニカルで子供向けとは言い難いアニメもなかなか無いだろう。個人的にはロアルド・ダールの作品の映画化作品では一番彼の世界観を再現していると思う。ウェス・アンダーソン得意の一見変わった家族のストーリーがサブストーリーとしてある。というよりはこちらがメインである。父さん狐は泥棒家業が辞められない「野生の本能」に忠実なキツネ。母さん狐は「元尻軽女(ネズミ談)」。息子のアッシュは出来損ないのチビで根性がひん曲がった糞ガキ(彼がキャラの中では際立っていて最高)。いとこのクリストファーソンは天才でアッシュよりも何かとできが良い。
こんな彼らの再生物語でもあるのだ。ストーリーは最高のエンディングを迎えることは見ているうちに誰でも分かるだろう。だが観客にはこびていない。あくまでも考え得る限り最高のエンディングなのだ。ストップモーションアニメにはなぜか秀作が多いが、その中でもトップクラスの面白さだ。
(11年4月17日)
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