劇場公開日 2008年4月12日

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「初めは感情移入できなかった」つぐない 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5初めは感情移入できなかった

2024年3月31日
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鑑賞方法:VOD

事件の犯人だと怪しまれかねない行動を取るロビーと、自身の憶測と願望で犯人を決めつける愚かなブライオニー。最初はどちらにも感情移入できなかった。しかし、ブライオニーが事の重大さを認識するようになり、人生の終盤で自身の罪を告白する姿に最初の印象も変わっていった。ブライオニーは人生でこの苦悩を抱え続けて生きてきたのが、彼女の告白から伝わって切なくなった。

映画の演出は見事。タイプライターの音と列車の電灯の点滅を一致させたり、犯人の姿をカットバックで映して印象的に見せたりするなどの要素が、映画を盛り上げることに貢献していた。この辺は『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』のジョー・ライト監督らしいと感じた。また、ダンケルクの海岸で大勢の兵士達がたむろしているところはリアリティがあったし、陽光に照らされた自然も美しかった。

根岸 圭一