ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのレビュー・感想・評価
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ダニエル・デイ・ルイスだから凄い!!!
富と名声の引き換えに、心の闇と孤独を抱き続けたダニエル。
この映画に男社会のドロドロを垣間見た気がして怖かったです。ついでに石油のドロドロも!!!これ、実際にそこに自分がいたら、さぞ、臭かろっ(>_<)そんな余計な感情を持ちつつ観てたから、映画の核心まで読み取れず、ちと残念でした。
やっぱり、大金持ちになるには、危険や妬みに疎外感・・・色々なリスクを背負わなけりゃならないのは仕方がないのかなぁ~悲しいことです。
宗教絡みは、ちょっと理解し難い。
何はともあれ、ダニエル・デイ・ルイスの名演技が観もの!!!それだけが、この映画の醍醐味のよ~な気がして・・・
7月1日イオン高崎にて観賞
あんぐり
マイ・レフト・フットのダニエル・デイ・ルイス主演のこの映画ですが、正直、ラストに唖然としました。あんぐりと開いた口がふさがらないまま、劇場をあとにしました。
3時間弱の映画ですが、ダニエル・ディ・ルイスの演技に圧倒されつつ、ぐいぐいとエンディングまで持ってかれます。一言でいうと傑作には違いないのですが、私にとってはものすごくショッキングな映画でした。(何度も言いますが・・・)たぶん、多くの人にとってショッキングな映画だと思います。事前に、観る人を選ぶ映画という情報は得ていたので、ある程度予測はしていましたが、万人受けはしませんね。
内容はアメリカの石油王の成功までの怒涛の人生を描いたもので、己の成功のために、あらゆるものを犠牲にして、突き進んでいきます。映画好きの作家志望の友人C君と見に行ったのですが、タイトルのBloodには、あらゆる意味がかけられているんじゃないか、という結論に達しました。実際の噴出す「血」と、血縁の「血」、そしてキリスト教の中における宗教的な意味での「血」です。
主演のDaniel Day-Lewisは間違いなく素晴らしい演技で、ホラー映画とまでいえるくらいの恐ろしい演技を嬉々として演じていますが、オスカー受賞間違いないっす。昨年のForest Whitaker同様、ダントツの存在感です。共演のPaul Danoもなかなかいい演技でした。彼は2006年の名作Little miss sunshineで、色盲の兄役ででていましたね。
あと、音楽が、実に印象的で、最近の映画では音楽がすげぇと印象に残った唯一の映画です。冒頭の不協和音は、非常に不穏であり、胸をかきむしられるような不安感をあおられます。途中のとあるダイナミックな事件の最中の繰り返されるリズムは今でも耳に残っています。
どれをとっても、私にとって2007年最も強烈な怪作。間違いないっす。
ダニエルさん怖すぎるよ。
石油王?となって破滅していく男の人生、、、と聞くと、
すぐに大好きなJ・ディーンの映画「ジャイアンツ」の
ジェット・リンクを思い出します。
富豪ベネディクト家の使用人だった彼が、貰ったちっぽけな
土地から石油を掘り出し、一夜にして大富豪へ立場が逆転。
その、石油が一気に噴き出すシーン!!すごかったです。。
…と、思っていたらやっぱり!ロケ地が同じでした^^;
どっかで見たような景色だなーと思ってたらやっぱり(汗)
アメリカって…広いようで狭いような?不思議です。
で、今回もまたアカデミー賞をとってしまった靴職人(爆)
ダニエル・デイ=ルイスでしたが(劇中の役名もダニエル)
いや~スゴイ迫力!迫真の演技!彼のための映画でしたね。
これでとらなかったら(笑)履かないよ。ってほどでした^^;
だけど、この人が賞レースに出てくると、他の候補者は
イヤでしょうねぇ。だって絶対持ってかれちゃうんだもん。
あれだけ才能がありながら、本人は演技より靴作りに夢中、
たまに脚本がいいからと出てきてはアッサリと受賞☆って
…どうなのかしら^^; 本当の天才(天災?)がここにあり。
彼の演技がメインなんですが、そこに絡む神父イーライ役・
ポール・ダノもすごかった!この二人、性格がそっくり^^;
自身の欲のためには大いに他人を利用する鏡のような存在。
この子誰だろ?と思ってたら『リトル・ミス・サンシャイン』の
あの、変わり者のお兄ちゃん!だったんですねぇ。
あの時はぜんぜん喋らなかったのに~(爆)今回はスゴすぎ!
互いの狂気(?)がぶつかり合うさまは目を覆いたくなるほど。
かなり観応えがありました。でも…かなり気持ちは悪い~x
石油=黒い血。
ドクドクと溢れ出すその光景に、大地と人間の不思議な繋がり
が感じられます。その恩恵が私達に富と安らぎをもたらす反面、
奥底ではどこまでも溢れだす欲望にも火を点けてしまう。。。
秩序を無視してまで得たいもの。
どんなに頂点に君臨しても満足できる居場所はないんだろうな。
哀しい人間の性をあぶり出しているようでもありました。
彼の養子だった息子は、幼くして事故に遭いますが、
それがかえって彼を成長させましたね。彼には見えている。
父親と離れて(半ば捨てられて)暮らした日々が、彼を欲から
解き放ったのでしょうか。父親の哀れが引き立つラストでした。
とにかく怖い!(爆) 音楽からしてかなり怖いですので。
(引き際の大切さを学ぶ映画でもあります^^;ここだ!って…ね)
オイル、アメリカに流れる血
巻頭、金鉱堀りのシークエンスから生理的な痛みを伴うような映像。「ノーカントリー」もそうだったが、こちらの方が痛み持続する嫌な感じ。その後の物語の進行に伴い、痛みは個から全体へ、直接的なものから間接的なものへとシフトする。これを、暴力的な音で強力にサポートする攻撃的な音楽が印象的。
ダニエルの事業と状況の変化が様々なエピソードとして描かれる。土地の買収、事故、教会との確執、企業間競争、親子の断絶等等々、すべからくトラブルであり、ダニエルはそれを乗り越え、更に前進しなければなければならない。
地面から滲み出てくるねっとりとつややかなオイルと、掘削作業中の事故で流される血は混じり合い区別もつかず、掘り当てられた石油が噴出するのは歓喜すべき瞬間のはずだが、そのエネルギーによって一人息子は障害を負うことになる。事業の成功はダニエルに富と権力をもたらし、自我の肥大と同時に多くのものが失われて行く。
ほぼ同時代のテキサスを舞台にしたジョージ・スティーブンスの「ジャイアンツ」では、ジェームス・ディーンが成り上がりの石油王として登場し、巨万の富を得ても望むような幸せを得られない人物を演じていた。とはいえ、あの時代、石油はまだ富と栄光をもたらすものと位置づけられていたのだ。
しかし「ジャイアンツ」の50年前とは打って変わって、ベトナム、湾岸戦争から911を経た今日、ポール・トーマス・アンダーソンの石油には死と厄災の影が色濃い。ダニエル・デイ=ルイスがナビゲートするのは、オイルよって描かれたアメリカの現代史。結局のところ、アメリカという国体に流れているオイルという名の血は、この120年間アメリカ全土にどんな栄養を行き渡らせ、同時にどんな病を運び込んだのか。
俺は全てであり、全ては俺のものだとばかりに有無を言わせぬ迫力で押しまくる、アカデミー主演男優賞の栄誉に輝いたダニエル・デイ=ルイスのパワーが他を圧倒する。新興宗教の偏執狂的にエキセントリックな教祖ポール・ダノの不気味さも素晴らしく、この二人が要所でみせるガチンコ勝負からは最後まで目が離せない。20世紀初頭から説き起こし、贅を尽くした邸宅の床にThere Will Be Bloodな虚無が流れ、未来を問うラストシーンの秀逸。
どのシーンどの画面を切り出しても隙のない、とことんリアリティーにこだわった絵作りは本当に見事だ。どこのどんな場面も画圧が高く、絵の力がスクリーンから押し寄せてくる。アン・リー、クリント・イーストウッド、コーエン兄弟。優れた映像で語りかけてくる作家は少なくないが、P・T・アンダーソンは今や頭一つ抜けたところに立った。エンドロールに故ロバート・アルトマンへの献辞が流れるが、本質的には変化球投手だったアルトマン、球質の重さ球筋まっすぐのゼア・ウィル・ビー・ブラッドをど真ん中に放り込まれ、草葉の陰でさぞや肝を冷やしたことだろう。アメリカ映画史が特別の場所をもって遇すべき傑作。
満たされない「家族」への思いが男を欲にすがらせる!
<ストーリー>
ダニエルは石炭や金を掘る山師。時代は移り、石油の時代を迎えつつあり、彼は何人かの採掘仲間とともに石油を掘り当てるが、その中の一人を事故で失ってしまう。その息子を引き取り、彼を連れて次々と油田の眠る土地を買い広げていくダニエル。
ある日、ポール・サンデーと名乗る男が、油田がありそうな土地の情報を買わないかと持ち掛けてくる。ウズラ狩りを装いサンデーの土地を訪れるが、ポールの弟で牧師のイーライが、土地を売る条件として、教会への寄付を要求してくる。ダニエルは条件を呑むのだが・・・
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
オープニングから流れ続ける不協和音が、主人公のダークで飽くなき野望を表しているようです。そしてダニエル・デイ・ルイスの圧倒的な演技と存在感!わずかに覗かせる孤独と、その心が決して満たされないことを知っているからこそ、その欲望は尽きず、また誰も信用出来ない。目的のための見せかけはあっても、決してだれにも跪かず、屈辱を味わされた人間には必ず代償を払わせる。ラストの狂気の演技は、あまりにも凄過ぎて笑ってしまうくらい。
所謂「敵役」となる、ポール・ダノ演じる牧師とは、敵対しているようで、実は似た者同士なのかも。ポール・ダノの狂気の演技も素晴らしく、この二人の「対決」シーンは、この映画の中でも最大の見物の一つです。158分間、画面から圧力かかり放しの作品です。
【ぐだぐだ独り言詳細】
オープニングの鉱山が映し出される映像から、流れ出す現代音楽のような不協和音。そして鉱山の砂や石油で汚れた顔の中で、ギラついた眼差しのダニエル・デイ・ルイス。彼はもう最初から野望が溢れ出ていて、音楽も含め、これから始まる「石油王残酷物語」を既に予見させます。
亡くなった仕事仲間の子供を引き取る時点で、油田を買い集めるのに、彼を「利用」しようとしていたかはわかりませんが、子供を撫でるシーンにも、何か普通の親子関係の愛情表現というよりも、「俺の後継者としてしっかり学べよ」という部分と、「可愛く育って土地所有者をうまくだましてくれよ」部分があるように見えます。
順調に拡大していく油田開発。しかしサンデー家の長男からもたらされた情報で訪れた土地では、彼の弟で牧師のイーライとの対立が待っていました。まず「富」という餌で、住民から土地を安く買い上げようとする主人公ダニエル。しかし牧師イーライは、その常軌を逸したカリスマ性で、住民を掌握していきます。すぐにイーライが「敵」であると察したダニエルとの対決は、金欲とともに征服欲を満たすためのもので、二転三転しながら最後まで続きます。お互いに手段を選ばず、見せかけだけは相手の手に落ちたように見せても、すぐに「おまえの○○○○○○○を飲んでやる!」(映画の中の重要な台詞のためモザイク・・・)と虎視眈眈。何度も出てくるこの二人の対決は映画の最大の見所の一つです。特にラストの「対決」はあまりにも凄過ぎて、見ているうちに私は笑いそうになりました。そして決め台詞・・・これはオチなのか・・・
この「対決」以外にも、拡大してきた油田を買収しようとする石油会社に対する対応等でも表れる、主人公の征服欲。更にここには「息子」に対する思いも込められています。「事故」と「事件」がきっかけで、一度は遠ざけてしまう「息子」。しかし再び呼び寄せた時には、既にわずかな情も消え去り、「戦略」としての存在でしかなかったのでしょう。「息子」に最後に叫び続ける言葉には、わずかに見せた孤独も感じられるとともに、「誰も信じない」という結末しか見出せない悲しみさえ感じられます。
更に一切家族を持とうとはしなかったダニエル。それに近いものが「弟」の出現ですが、その「持ち物」に触れた時にわずかに見せる家族への郷愁も、その疑心暗鬼な心が、すぐに消し去ってしまいます。
結局全ての「情」は自身によって否定され、最後は征服欲を満たすことによってしか生きていけない男を、オスカー当然な圧力満載の演技でねじ伏せるダニエル・デイ・ルイス。158分間、体力は必要です。でも観ておくべき演技です。
トコトン貪欲だなぁ~
映画を汚してしまった音の渦
映画はにダニエル・デイ=ルイスが肉体のみで見せる演技でスタートする。これは傑作になるかもしれないと思った瞬間に大音響で流れる音楽がすべてを台無しにしてしまった。音楽が悪いのではなくボリュームが大き過ぎる。この映画はBGMが大きくなる数箇所ですべてが白々しくなる。ダニエル・デイ=ルイスの演技はこの映画ではあれ正解。彼に対抗するは牧師、息子、弟が束になってもかなわない。「俺にはむかう者はみんな潰してやる」と思いきや、息子(無表情に近い少年がいい)の運命が予想外、それについて考えると面白い。あれはロバート・アルトマン的な世界から旅立とうとするポール・トーマス・アンダーソンを重ねているのかもしれない。といわけで監督にとっては過渡期的な位置付けになるはず。
こんな作品見せやがって、アカデミーの馬鹿野郎~!
序盤の長く変化の乏しい展開に、苦痛を感じてしまった作品となりました。何しろ2時間38分の長編ながら、その大半は主人公が製油採掘で成功するまでが、淡々と描かれています。しかも台詞もあまりありません。黙々と穴を掘り進め、仕掛けをかけて油を救いだすシーンが続きます。さらにそのバックには不協和音の不吉な音楽が重なります。ホラー映画なら、こんな音楽が流れた後には何か起こるものですが、何も起こらず意味なく流れているようでした。
この前半部分は、死者も出るくらい石油採掘の危険さをとダニエル父子の親子の絆の強さを描いたものであったものと思います。ダニエルがどんなに危険な商売に手を染めていたかを見せることで、命がけの仕事にのめり込む裏側には、彼の強い人間不信があったのだと言うことをクローズアップしたかったのでしょう。
そして、後継者として賢い息子を愛おしむ姿を見せることで、そんな大切な息子でも、邪魔になると簡単に放り出してしまう身勝手さを強調したかったのでしょう。
しかし、この前半は長すぎました。アンダーソンの演技は、強烈なダニエルを迫真の演技で演じて、すごすぎるのに、編集でダメダメにされてしまいとても残念に思います。
さて後半には、物語がやっと動き始めます。
腹違いの弟を名乗るものの登場により、弟との対話のなかで、ダニエルは自分がいかに人間不信か、自分自身しか信じていないかを語ります。その話の中で、だんだんダニエルは普通の感覚の持ち主でないことが明かされていきます。
その普通でないことがハッキリしたのは、弟ということが嘘であったことがバレたときでした。ダニエルはそこで初めて、狂気を見せます。
狂気といえば、自分しか信じないのが信念のダニエルにとって、信仰者に対する態度も狂気じみていました。彼にとって信仰者は偽善であり、嘘つきでしかなく、この世においてもっとも忌み嫌うべき存在であったのです。
彼の狂気は徹底していました。土地取得において、現地の牧師が一家の一員のなっていて、教会への寄付を迫られていたとき、寄付を約束しておきながら平気で反故にするばかりか、寄付を求める牧師をボコボコにしてしまいます。
そして実はこの因縁はラストまで引っ張っていくことになります。
パイプラインを施設するルートの土地に、牧師の熱心な信者の所有地があり、土地取得の条件に、教会の信者となることを嫌々ながら飲まされます。
教会の牧師は、ダニエルを待ち受け、以前の土地取得時の寄付の履行と懺悔を求めます。牧師が命ずる懺悔はダニエルにとって大変な屈辱を味わう結果となりました。何しろ大勢の信徒の面前で、身勝手に息子を放り題したことを大声で懺悔されられたのです。
勧化の傍ら、「パイブライン」と口走り自分を納得されようとするダニエルのガマンする表情が可笑しかったです。このあと直ぐ彼は息子を呼び戻します。よほど悔しかったのでしょう。
20年後に、この仕打ちの仕返しをするタイミングがやってきます。
伝道の旅に出た牧師は、魔が差して投資に失敗。経済的にピンチを招いて、ダニエルの元に寄付を求めて尋ねてきます。対面したダニエルはわが意を得たりという顔つきで、予言がウリのおまえが何で投資に失敗するのかと、牧師に詰め寄るのです。そして寄付の条件として、かつて自分が教会で受けたのと同様な懺悔を牧師に求めます。
躊躇いつつも牧師は、ダニエルの求めるままに自分はインチキな予言者であり、信仰を冒涜していたものであるということを心ならずも大声で言わされるのです。
このとき牧師が自分に人を救うための方便なんだと言い聞かせながら告白するところが可笑しかったです。
しかし偽善と信仰を嫌うダニエルはそれだけでは牧師を許さず、狂気へと走るのでした。
以上この作品はひとりの人間不信な石油王の半生をリアルティを持って描いたものです。その中身は、所詮信じられるものなとないということ。特に信仰と神の救いに対する強い疑問が横たわっています。何らかの信仰をお持ちの人が見たら不愉快に思ってしまう作品です。
その背景には、アメリカのキリスト教においても堕落した牧師がいて、語っていることと実際の生活にギャップがありすぎで鼻持ちならないということがあるのではないかと思いました。宗教と縁がない人には、なかなか理解しがたい映画でしょうね。
最後にコ゜ーマンかましていいですか?
『こんな作品見せやがって、アカデミーの馬鹿野郎~!』
ダニエル・デイ=ルイスが本当に凄い。
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