夜顔のレビュー・感想・評価
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ストーカーおじいちゃんの話だが、すべてのショットが芸術
ルイス・ブニュエル「昼顔」の続編として作られた作品。
おじいちゃんが40年越しのストーカー活動を再開する話だが、あまりにも優れた映画術により、なぜかそれが洒脱な大人の遊びみたいに見えてしまう。
とにかくすべてのショットが芸術。インテリア店前の俯瞰ショット、ホテルでの食事シーンなど2人の会話がない、あるいは聞こえないサイレント的なシーンは特に圧巻。
前半の追跡、バーでの会話、ホテルでの食事、いずれのシーンも画面の隅々にまで愉悦が満ちており、「映画を観ている」感覚・体験が強烈だ。
ちなみに「昼顔」の謎2つ、すなわち、
・東洋人の持っていた箱の中身は?
・ユッソンはセヴリーヌの秘密を夫に告げたのか?
について言及するシーンがあるが、いずれも明らかになることはない。
「オリヴェイラ、変な方だ」「でも好きでしょ」(笑)
ブニュエルの「昼顔」の続編ですが、ストーリー云々はさておき、単体でも充分に堪能できました。
とにかく撮影が凄すぎます。ピラミッド広場のジャンヌ・ダルクと騎馬の像の表情、バーのシーンの鏡、レストランの窓から見える夜景の画角と壁の絵画、そして蝋燭の揺らぎ...
撮影はサビーヌ・ランスラン あのアケルマンの「囚われの女」の撮影監督じゃないですか!納得です。鶏の歩行が微妙にぎこちなかったのは演技指導でしょうか。
食事のシーンは一言も会話がなく、カトラリーが食器に当たる音のみ。マナー講座の体をした無言の対局という感じでした。
怪優の面目躍如たるピコリの凄くいやらしい表情がいつまでも心に焼き付きました。
緊張感を持続させて観たせいか、69分の短さにもかかわらず、見終わってどっと疲れてしまいました。
ちなみにイケメンバーテンダーはオリヴェイラ監督の孫らしいです。娼婦役のレオノール・バルタックとは同監督の「コロンブス 永遠の海」で夫婦を演じています。
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