「あなたに逢いたい。」テラビシアにかける橋 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
あなたに逢いたい。
いや~素晴らしい!!本当に素晴らしい作品でした。
内容といい、上映時間といい、いうことないです。拍手!
もしこの作品を、タイトルでSFファンタジー映画だと判断し、
単なる子供作品だろうと、たかをくくる大人世代の皆さん、
ぜひご鑑賞をお薦めします。久しぶりに心が洗われます♪
さすがに国際アンデルセン賞を受賞した児童小説、とあって
その世界観と説得力において抜群の出来なんですが、例えば
秘密基地保持・空想家・マンガ、小説好きなんていう子供時代
を過ごした経験があればよけいに思い入れも深くなるでしょう。
私なんてまさに、夢想・空想・妄想の中で生きてましたから^^;
女姉妹だらけの中でひとり、どうも存在感の薄い主人公の少年、
学校じゃ貧乏人の息子と虐められ、家では我慢ばかりの毎日。
女教師に憧れるごく普通の男の子に、ある日突然できた親友は、
隣の家に引っ越してきた、しかもまた女の子!(爆)
これまた男勝りで活発、駆け足で彼女に負けた主人公は最初
悔しくて彼女を避け続けますが、同じ価値観を持っているのに
共感、だんだんと心を開き、二人で森の王国「テラビシア」を
つくり始める。(もちろん空想の賜物)
この話の素晴らしいところは、あり得ないファンタジーを
そこへ持ってくることでなく、誰もが持っている遠い日の記憶を
自分の中に呼び覚ましてくれるところにあります。
それが楽しい思い出だったり、辛い出来事だったり、
そんな過去を経験してこそ、今の自分があることを実感できる。
名作「スタンド・バイ・ミー」が語る過去の友情が色あせないのは
常に自分の傍にいてくれた(両親や先生以外の)頼れる救世主が
その時の自分の精神上の王国を築き上げることに、多大な力を
与えてくれたから。駆け引きのない、値踏みをしない思いやりは
どうして大人になると、なくなっていってしまうんでしょうねぇ。
テラビシアという空想上の王国は、彼が彼女と友情を育みながら、
成長していく過程に欠かせない場所でした。
誰にも侵入させなかったその場所に橋をかけ、妹を連れて行った
主人公の成長ぶりが眩しくて、嬉しくて、ボロボロ涙が出ました。
ふと、私は今どんな大人なんだろう…と自問してしまったけど^^;
余談ですが、あのT-1000!お父さんになってたなんて!(汗)
(この主役二人&妹は上手いですねぇ♪テラビシア賞をあげたい。)