劇場公開日 2007年12月22日

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「あまりに早すぎる名優の死を悼む」その名にちなんで ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あまりに早すぎる名優の死を悼む

2020年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

私が初めてイルファン・カーンを意識したのがこの映画だった。本作でカーンは青年役から徐々に年を重ね、最後はそれなりの風格漂う一家の主人となっていく。いわばインドからアメリカ、ニューヨークへと移り住む彼とその家族のクロニクル。文化や言葉、家族、世代の間で巻き起こる衝突をちりばめつつも、そこには確かな眼差しと暖かさがあった。何が起ころうとも、この家族ならば乗り越えていけるのではないか。そんな確信めいた思いが私の胸には熱く込み上げていた。それはひとえに父親役イルファン・カーンの、熱心で、真面目で、かたくなで、時に人の良すぎるところもある人柄のなせる業。この主演俳優の存在感は、見る側にとっても「身近な誰か」を思い起こさせる。それこそ自分の父親や祖父や人生の恩人を、彼の姿に重ね合わせてしまう人も多いのではないか。そんなイルファン・カーンが2020年4月に逝った。享年53。あまりにも早い名優の死である。

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牛津厚信