劇場公開日 2008年1月19日

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シルク(2007) : インタビュー

2008年1月17日更新

前作「レッド・バイオリン」に続いての国際プロジェクトに携わったフランソワ・ジラール監督。19世紀半ばのフランスと日本を舞台に男女の幻想的な愛を描いた本作について話を聞いた。(取材・文:若林ゆり

フランソワ・ジラール監督インタビュー
「オリジナリティに満ちた、濃厚で詩的な世界に魅了された」

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原作は、散文詩のような小説。19世紀半ばのフランスと日本を舞台にしたこの小説にジラール監督が惹かれたのは、まず「この小説が描く普遍的な愛と、オリジナリティに満ちた、濃厚で詩的な世界に魅了されたこと」。そして、「エルベの異国への情熱に共鳴したこと」だという。

フランソワ・ジラール監督
フランソワ・ジラール監督

前作「レッド・バイオリン」でもいくつもの異文化を描き、その後も世界中で多彩な芸術活動を行ってきた監督は言う。「異文化に触れるということは、一人の人間としても芸術家としても、私自身が生きていく上でも非常に大事なテーマですからね」

そして今回、幕末という日本の歴史以上に彼を興奮させたのは、日本の俳優たちだ。

「日本人のキャストは全員、私のインスピレーションの源となってくれました。役所広司さんは、私が役に求めていた内面的な強さと貫禄といった要素をすべて持ち合わせている上に、役者として非常に品格がある。中谷美紀さんは、内面的にもスピリチュアルな美しさを秘めている、神々しい人です。芦名星さんは、まだ経験が浅いにも関わらず、全くセリフがないという難役を見事に演じてくれた。彼らとぜひもう一度仕事がしたいと、いま具体的に考えているところです」

映画の中で、エルベは妻を愛しながら、とりつかれたように日本の女性に惹かれていく。あれもまた「愛」だったのだろうか?

主人公にとって2人の女性の意味とは…?
主人公にとって2人の女性の意味とは…?

「いい質問ですね。私はこの作品が描くのは、愛の多面性だと思っています。エレーヌは妻として夫のエルベを深く愛し、エルベも妻を愛している。これは確かなものです。しかし、それを惑わすように日本人の少女が登場して、対照的な愛の側面が競合し、ぶつかり合うような形になる。

※以下、ネタバレあり!

実は私の解釈では、エルベが日本人の少女に抱く愛情というのは、妻への深い思いを象徴したものなんですよ。実際には、彼は少女を愛していたのではなく、妻に対する愛情を人間化したのが少女だったのではないか、と。妻と少女は、一つの愛のあり方における、二つの側面というわけです。最後の手紙のエピソードは、少女への思いに引きずられて苦しむ夫を妻が救い、苦しみから解放してやるのだ、という気持ちで描いたんです」

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