迷子の警察音楽隊のレビュー・感想・評価
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なんとも言えないけど心温まる
アキ・カウリスマキ好きな方なら全然いけると思います。 セリフも少ないし特にへんな動きするわけでもないのにおかしい。 失敗ばかりなのに毅然としようとがんばる隊長もいいしなによりもあの、気まずい食事シーン。 噴出すの必至。 意思疎通もスムーズにはいかないけどお互いがそれなりに相手を尊重しています。 国籍関係なく、こういった優しい心をみな持ち合わせているはず。 ほのぼのとしたあたたかさに包まれる映画です。
ノリノリな音楽でつづる爆笑系映画ではない。
冒頭ミスタービーンみたいな人が車の助手席にバランスボールのようなものを載せて去っていく、と、現れる8人の音楽隊。そこからふわっと話が進んでいく。 リンゴをナイフで切りながら食べる、コーヒー飲む?と聞いておいて丸々一個大きなスイカを豪快に包丁で解体し始める、超巨大なパン(?)にテヒナ(?)を塗って食べる。あれはあの国の普通の食生活なのだろうか、それとも、笑うところなのだろうか。 たんたんと哀愁のような空気のなか話が進む。嫌いじゃない。
なんとも言えない味わい深い作品
まず、自分が触れた事の無い文化圏の人々の思考を垣間見る事ができ、そこに感動があった。2007年なのに携帯電話を持つ人が登場しないのも今となっては新鮮。言葉だけがコミュニケーションではないのだなあと改めて感じた。俳優の演技もナチュラルに感情が伝わってくる心地よさだった
エジプトのおじさま達が愛らしい
イスラエル人とエジプト人。言葉は通じないけれど、同じテレビドラマが見られたりするらしい。わりと自由なイスラエル人達と、生真面目なエジプトの旧世代とさばけた新世代の対比。主人公の人生模様と淡い恋。 ストーリーも良いが、みんなの表情も良い。微妙な表情とかもすごく上手くて、ちょいちょい笑った。(特にクラリネットのおじさん。) 全体として、イスラエル人監督のエジプト人への視線が温かくて、見終わってほっこり。 世界中でこんな心の交流があったらいいのにな、としみじみ思った。
日本語タイトルのとおり w
もう十年以上前に買った、レンタル落ちのDVDがでてきました。観ずじまいで、あぁ、これどうしよう、と思ってたら、もうネットで観られるじゃん、と。 やっと、観ました。 「Bands Visit」を、わざわざ、「迷子の・・」と、訳していることからも、多分、のどかな小作品なんだろうな~ と思っていたら、全くそのとおり。 いちいち、映画好きならでは、の絵のようなシーンに、ニヤニヤ。 小さなエピソードに、うんうん。 エジプトにイスラエル、両国の複雑な関係も微妙だろうけど、そこは、深堀せずに。 地方都市のなぁんにもない街、簡素な店の夜、わかるわ~~~ 遠いよく知らない国だけど、でも、やっぱり、夫婦や家族や若者は、おんなじなんだなぁ、ってつくづく思いました。 それぞれの話すシンプルな英語も、それさえも口をついて出ない私と多分多くの日本人にとっては、いい刺激ですね~ でも、もし私(我々)が他国でカタコト英語で触れ合ったとして、あの公園のベンチでの会話や、愛について訊かれた時の言葉なんか、言えるだろうか。 お世話になったときに、ちゃんとお礼が言えるだろうか。。。。 なんてことを考えると、彼等が、ただの無口で無骨な人達とはとても言えない。 そういう観方もできるかなぁ、と。 で、警察音楽隊というから、だれもが想像しちゃうタイプの音楽かと思いきや・・・ (もちろん、伏線はいくつか張ってあったけど) これっすか! でもこの優しい歌声、楽器の音色に、ホントに、ほっこりいたしました。 ただ、話しの出だしのテンポとか、なぁんか気になるとことかがいくつかあったり、そこは一歩こういう展開でもいいのでは、とかで、 ☆は、4で。 でも、ホントに、素敵な映画でした。 「バグダッド・カフェ」とか好きな方、いいんじゃないでしょうか。 アマゾンプライム会員で、ただで観られます、観てない方は、とにかくどうぞ!
パリ、テキサス!かと思った・・・
オープニング、「えっ、パリ、テキサスっすか?」 夫、「鋭いなあ」の一言。 久々に、やっぱり映画はこうでなくっちゃと思った次第です。 動かないカメラ、カットのワンシーンワンシーン、一切の無駄を省いたその構図、 不意に流れる音楽の効果・・・ シュールかと思いきや、そうではない。 お若い方、どのようにお感じになるかわかりませんが、 私だって、「パリ、テキサス」っていう響きだけで今もって胸がキュンとなるのだから、若くたってこの映画に流れる世界を理解できないはずはない・・・ 何故⭐️4かといえば、つまりエンターテイメントではない、というだけのマイナス点。 こういう映画を見ると、映画、バンザイと言いたくなる。 ちなみに、イスラエルのあの女性のプロポーションを見るだけでも大いに価値あり。 非常に美しいです。
アラビア語とヘブライ語
1979年にようやく友好条約が結ばれたというエジプトとイスラエル。今でも宗教の対立はパレスチナ問題を見ればわかるとおり。彼らは本来なら相容れない存在なのだ。アラビア語とヘブライ語。そして彼らの間には英語という意思の疎通のための言語がある。字幕もわかりやすく、カッコで示されていた。
団長とディナの間にほのかな恋愛感情が生まれたのは言うまでもない。ただ、団長は3年前に亡くなった妻のことが忘れられないでいるのだ。なんとか一晩の相手にと、誘いをかけるディナ・・・彼女もすでに40を超えていそうだ・・・だったが、明日のコンサートに向けて早く眠りたい。そして、このまま恋してしまったら面倒だ・・・などと思っていたのかもしれない。しかし、残酷なことに、楽団で最も若く、才能があり、ナンパなカーレド(バクリ)がディナとセックスしてしまうのだ・・・だが団長は見て見ぬふり。彼女を満足させられないという気おくれもあった。
警察音楽隊だというから、軍隊調の曲を演奏するのかと思えば、これがまたマッタリとしたアラブの伝統音楽。ほのぼのさせてくれる音楽だった。副団長のエピソードも気になり、コンチェルトを作曲できるのだろうか・・・
助け合う心が好き
コメデイで面白くおかしく笑ってみた。正直いって、この笑いの中には隣同士の国でも宗教ばかりでなく文化が大きく違う。また、この音楽隊の中でも2枚目の若者Saleh Bakriと他の年配の隊員や隊長(Sasson Gabai)とでは文化が違う。その中に人間としての笑い、音楽、などの共通項を見つけ出せるので心が温まった。そして、絶対と言っていいほど、宗教と政治に話はしていない。共通なものを見出せるのは一般市民で、政治家やリーダーではないのが残念。米国ジャズの大御所だったチットベーカーの曲も文化の違う二組の心を繋げた。 会話は英語、アラブ語、ヘブライ語で行われるが、50%ぐらいはシンプルな英語を使っている。隊長を除いて。シンプルな英語が俳優の演技で賄われているのがいい。隊長の英語は教科書に出てくるような形式的な英語で、イスラエル人の話す英語と違いが。はっきりいって、芸術には国境がないし、アラブイスラエルの問題は市民レベルでは解決策が見出せるということだと思う。 Alexandria Ceremonial Police Orchestra がカイロからイスラエルに到着したが、迎えにくるべき人が迎えに来ていない。ペタクチュクヴァPetah Tikvaのアラブ文化センターに行く予定だが、アラブ語の発音がヘブライ語人に誤解を与えたらしく、なにもないイスラエル南部のネゲブ砂漠のBeit Hatikva (('House of Hope' in Hebrew)に降ろされてしまう。(これは架空の場所らしい)翌日までバスがなくそこで八人は一晩過ごすわけだが。。 カイロからの音楽隊の宿泊を引き受けたユダヤ人の男性の家族の家の写真にシモン・ペレスの肖像画あったから、時代背景はオスロ合意以降で多分2000年前後の話を舞台にしていると思うが定かではない。隊員の一人が帽子で、イスラエルの戦闘タンクの写真を隠すところがいい。ここで、子供をあやすオルゴールの音を聞きながら、隊員の一人は作曲が中途半端だったコンチエルトのアイデアがうかびそれを仕上げることができる。いいね。
海外出張思い出しました。
レビューを見ていろいろエジプトとイスラエルのことを知るきっかけになった。その分の加点で星4つ。映画のみなら星3.5です。世界情勢に詳しくないのを恥ずかしい。 私は語学が堪能ではないので、歯痒い思いをしたことを思い出しました。拙い言葉でもなんとか理解してくださる現地の方。この場を借りて感謝します。 ニヤニヤできたり、笑えたり、色々感じるのことできるいい映画でした。 最後に、あの電話をずっと待ってた子どうなったんだろ。すごく気になる。
ホッコリするな〜
エジプトからイスラエルに来た警察音楽隊。空港での出迎えがなくバスで現地に向かうが、行き先を間違えて、ホテルすらない過疎地へ。帰りのバスが無く、道を聞いた食堂の人達の好意で一夜を過ごす事に。
異国の地で迷子になる不安感、刺激の無い街の住人の反応。関わる両者の距離感がとても面白く描かれていて、海外の人に距離を置く感覚は万国共通かと、ホッコリ出来る。楽団のイケメン男が、現地の女性経験の無いブ男に指南するシーンは抜群に面白い!
静かに、温かい
昔観たことはあったけど、イスラエルを旅した後にもう一度鑑賞。 乾いた空気、粗くも温かい人々…イスラエルの感触を思い出させられました。 イスラエルとエジプト、難しい話になりがちな関係の二国間だけど、人間同士の交わりはもっと単純。 迷子になっているのは警察音楽隊だけではなく、そこに昔から住んでいる人たちも、迷いを抱えながら生きている。 思いがけない一晩の交流は、お互いに忘れがたい何かをもたらしあったに違いない。 本当に一晩の夢のような、静かな温かい作品。 俳優も皆、いい表情します。
さりげない悲しさとユーモア
さっぱりしていて見やすい。 この手のストーリーだと過剰にキャラクターを盛ったりもするものだが、自然な感情の揺らぎをユーモアを交えて描いている。 建前と本音が存在し、人間関係の奥ゆかしさみたいなものは、どこか日本的なものを感じる。あくまで日本人の視点として。 泣く女に対した恋愛指南のシーンなんてあたたかくかつ面白い。最後の演奏シーンを大袈裟にしなかった点も良い。 しかし町がちょっと淋しすぎるかな。もう少しざわめきがあってもいい。
気まずい
総合:60点 ストーリー: 55 キャスト: 65 演出: 65 ビジュアル: 70 音楽: 75 アラブとイスラエル、見知らぬ辺境の町で見知らぬ人々同士。たどたどしい英語でかろうじて交流をしていく。お互い遠慮してしまってひたすら気まずい雰囲気が流れる。正直見ているこちらも気まずい。何か自分が見知らぬ家で無理やりお世話になっている感じになる。早く時間が過ぎてこんな場所は脱出して本来いるべき場所に行きたい。そんな気分になった。だから演奏が始まると、音楽も含めてなんとなく晴れ晴れとした気持ちになれる。だが気まずい雰囲気のままなかなか進まない話がちょっと冗長だった。
アラブ人とイスラエルの国家間事情が分からないとね・・・
迷子になった国家間の風土の違いに戸惑うエジプトの警察音楽隊を描いた作品でちょっと変わった内容で、物珍しさもあり、まずまずの評価です。
実はイスラム国家間の事情が分かれば、もっと面白さが伝わるのですが
日本人だと多分、意味が分かんないんだろうなと思う。
ちなみに俳優も画像も面白い。
イスラエルの風景の映画なんてなかなか見ないので。
国際映画祭では評価が高いのもそんな背景がすべて。
勉強して観るべし!
アラビア語で何か言って?音楽のように聴くから
映画「迷子の警察音楽隊」(エラン・コリリン監督)から。
エジプトの警察音楽隊が、イスラエルに招かれ演奏会に行き、
現地で迷子になるというストーリー。
予告では、面白いシーン満載だったけれど、
実際は、笑えるシーンは最初の数分だけで、
宗教とか、エジプトとイスラエルの関係は
よくわからないけれど、けっこう重たい映画だったと思う。
外国人と言葉が通じない時のあのどんよりした雰囲気、
それを一晩中、続けるとなると、気が滅入る。
わかるだろうか・・そんな映画なのである。
それでも、その雰囲気を打破するために、片言の英語で話す。
それが、今回の気になる一言。
「アラビア語で何か言って?音楽のように聴くから」だった。
正直、アラビア語は全然わからない。
でも、音楽のように聴くから、ずっとアラビア語を話して・・。
彼らに、ストレスが貯まらないようにしてあげたのかな。
にっ(O^^O)てかんじ☆
久しぶりにこんなスローペースな映画を観ました。
すごくスロー。
たった一晩の音楽隊の迷子の様子を描く。
ただそれだけ。
私はさえない男の子がさえない女の子を慰めるシーンが
好きです。
3人並んでたんたんと進むやりとりのなかに
すごく微笑ましい要素がたくさん盛り込まれてるというか。
ほんといい。
世の中に逆行してるような映画だけど、観る価値はあると思います。
迷子たちの誇り。
実は、どうしても、どうしても、観たい作品だった。
まさかと思ったけど!?それが地元のシネコンにやってきた。
うっそー。でも嬉しくて仕方なかった。。早速!!と思いきや、
二週間の限定上映。頑張ってスケジュールを錬るも時間が合わず
もうダメか??と思った最終日に、ついにその願いが叶った♪
…やっぱり映画の神が味方になってくれた!と感じた瞬間。(爆)
カンヌ映画祭「ある視点」部門で“一目惚れ”賞を、
昨年度東京国際映画祭で最優秀のサクラグランプリを受賞した作品。
長年、敵対関係にあったというエジプト人とイスラエル人の
たった一夜の夢のような物語ではあるけど、いたってシンプルな話。
取り立てて説明もなければ、もちろん仰々しい演出もない。
エジプトの警察音楽隊が、招かれてイスラエルに演奏に来たものの、
降りる街を間違えて迷子に。そこで一晩だけ親切な食堂の女主人の
世話になるという話。本当にそれだけなのだ。(爆)
ところがこれが素晴らしく素敵で、私も一目惚れしてしまった^m^
なにはともあれ、誇り高き団長役・サッソン・ガーベイである。
彼以外にこんな役は出来ないだろう~♪ピタリとハマっている。
こんな奴について行きたくない!と誰もが思う頑固親父だけど、
彼にもいろんなドラマがあったのだ。
それをサラリと女主人に語らせ、ほのかな感情を芽生えさせるも、
彼はやっぱり団長だった^^;親父には団員を引率する責任がある。
どこまでも頑固で意気地のない彼が、小さく小さく手を振る姿が
なんとチャーミングなことか♪
彼と何かと対立するイケメン団員・サーレフ・バクリも素晴らしい。
ナンパ師の彼が、迷い込んだイスラエルでは誰一人モノにできず^^;
ひいては知り合いになった男の子の恋愛指南をするハメに!?
他の団員達も、どんな難事に巻き込まれてもジーっとして動かない。
呆気にとられ吹き出してしまうような「間」がとにかく絶妙なのだ。
どんなにトホホ…な状況でも、常に温かく彼らを見守る視線が
最初から最後まで徹底しているのに、泣かせようとする演出はない。
彼らのいた両国のバックグラウンドを知れば知るほど、この作品が
興味深くなり、冒頭の語り「過去にエジプトの音楽隊が来たが、
それほど大したことではなかった。」の真意が分かってジーンとする。
やっとのことで、彼らの演奏が聴けるラストまで(爆)
彼らと一緒にジーっと身構えながら、心はどんどん温まっていく。
名優オマー・シャリフやファテン・ハママの名を聞けたのも、
名曲“サマー・タイム”“マイ・ファニー・バレンタイン”が
口ずさめたのも、人の心には何の国境もないことを教えてくれる。
(今もアラブ系イスラエル人は苦労しているそうだ。希望を開こう!)
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