誰も守ってくれないのレビュー・感想・評価
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【81.9】誰も守ってくれない 映画レビュー
『誰も守ってくれない』は、現代社会が抱える根深く陰湿な問題を鋭く抉り出した、重厚な社会派サスペンス。全体として、その完成度は極めて高い。公開当時、少年犯罪における加害者家族へのバッシング、メディアスクラム、そして匿名のインターネット社会が引き起こす私的制裁の是非といった時宜を得たテーマを真正面から捉え、観客に倫理的な問いを突きつけることに成功している。物語の展開は、冒頭の事件発生から、事態が急速に悪化していく過程、そして主人公である刑事・勝浦が葛藤しながらも真実と正義を追い求める姿を、緊迫感あふれる筆致で描き出す。特に、事件の被害者と加害者の家族双方に対する社会の冷酷な眼差し、そして何より「正義」の名の下に行われる無責任な集団リンチの狂気をリアルに描破した点は特筆に値する。
しかしながら、本作が提起する問題のあまりの深刻さゆえに、観客に突きつけられるのは、明確な解決策や希望ではなく、むしろ拭い去れない絶望感と無力感である。エンディングにおいても、全ての登場人物が救済されるわけではなく、むしろ傷跡が深く残る形で物語は幕を閉じる。この「救いのなさ」は、社会の抱える問題の根深さを強調する効果がある一方で、観客によっては感情的なカタルシスを得にくいと感じる可能性も否めない。それでもなお、社会の闇と人間の醜さを直視させるその姿勢は、商業映画としてのみならず、現代社会への痛烈な警鐘として、極めて重要な意義を持つ。作品全体を覆う重苦しい雰囲気は、観客に安易な感情移入を許さず、むしろ思考を促す。その点で、エンターテインメント性と社会性のバランスを高いレベルで両立させた稀有な作品と言えよう。
君塚良一監督は、テレビドラマ「踊る大捜査線」シリーズで培った社会派エンターテインメントのノウハウを遺憾なく発揮。リアルな警察捜査の描写と、人間の心理の機微を丁寧に描く手腕は本作でも健在だ。特に、メディアによる過熱報道と、それによって増幅される世論の暴力性を、視覚的・聴覚的に巧みに表現。インターネット上の書き込みを映像として挿入する手法や、テレビニュースの音声を多用することで、観客はまるで自分自身がその狂気の中に巻き込まれていくかのような錯覚に陥る。感情の揺れ動きを細やかに捉えた人物描写も秀逸。登場人物たちの葛藤や苦悩を、過剰な演出に頼らず、むしろ抑制された演技と表情で引き出すことに成功している。全体として、過度な説明を排し、観客に考えさせる余白を残した演出は、作品のテーマ性をより一層際立たせている。
本作の主人公である刑事・勝浦巧を演じた佐藤浩市の演技は、まさに圧巻の一言。少年犯罪の加害者家族を保護するという重責と、自身の過去の過ちとの間で葛藤する刑事の複雑な内面を、見事に体現している。当初の冷徹で割り切った態度から、事件に深く関わるにつれて人間的な情念を露わにしていく過程は、その表情の微細な変化、視線の揺らぎ、そして時折漏れる息遣いの中に克明に刻まれている。特に印象的なのは、加害者の少女・沙織を前にして見せる、苦悩と憐憫が入り混じった眼差し。決して多くを語らないが、その眼差し一つで、勝浦が抱える心の傷の深さ、そして正義と職務の間で揺れ動く倫理観を雄弁に物語る。また、理不尽な暴力や罵倒に晒される中で、内なる怒りを抑えきれずに感情を爆発させるシーンでは、その抑圧された感情が堰を切ったように噴出する様を、全身で表現。観客は、勝浦の苦悩に深く共感し、その人間的な弱さゆえに、かえって彼の正義感に説得力を感じずにはいられない。佐藤浩市は、一貫して抑制された演技の中に、沸き立つ感情を巧妙に隠し持ち、ここぞという場面で爆発させることで、観客の心を鷲掴みにする。本作における彼の演技は、まさに日本映画史に残る名演と言っても過言ではない。
少年犯罪の加害者家族として、社会から徹底的に排斥される少女・沙織を演じた志田未来は、その若さにもかかわらず、計り知れない絶望と恐怖、そして葛藤を内包した演技を披露。表情の乏しさの中に宿る微かな震え、視線のさまよい、そして言葉にならない嗚咽が、沙織の置かれた絶望的な状況を痛いほどに伝える。無力でか弱い存在でありながら、時に見せる毅然とした態度や、僅かな希望にすがるような眼差しは、観客に強い印象を残す。特に、勝浦との間に芽生える信頼関係の中で、徐々に人間らしさを取り戻していく過程を繊細に演じきった。
勝浦をサポートする若手刑事・三島省吾を演じた松田龍平は、独自の存在感を発揮。冷静沈着でありながら、事件の非情さに触れて葛藤する若者の姿を、自然体で表現。勝浦とは対照的なアプローチで事件に臨む姿勢が、物語に奥行きを与えている。彼の控えめながらも確かな演技は、物語の緩衝材として機能し、重くなりがちな作品のトーンに微妙なニュアンスを加えている。
過去に勝浦が担当した事件で息子を失った父親、本庄圭介を演じた柳葉敏郎は、深い悲しみと、その悲劇がもたらした心の傷を、抑制された演技の中に滲ませる。表面上は穏やかにペンションを営むが、その眼差しには拭い去れない喪失感と、過去の事件への複雑な感情が宿る。勝浦との再会によって、彼の内面に秘められた感情が静かに揺れ動く様を、過剰な表現に頼らず、繊細な表情の変化や佇まいで表現。加害者家族への単純な復讐心ではなく、自身の癒えない傷と、過去の事件の真相、そして勝浦との関係性の中で、複雑な感情を抱える一人の父親の姿を、説得力を持って演じきった。彼の演技は、被害者遺族の苦悩を深く掘り下げ、物語に重層的な人間ドラマをもたらしている。
脚本は、君塚良一監督自身が手掛けており、現代社会が抱えるデリケートな問題を真正面から描いた意欲作。少年犯罪の加害者家族への過剰なバッシング、匿名のインターネット社会が引き起こす誹謗中傷、そしてメディアスクラムの無責任さといった、まさに時宜を得たテーマを巧みに織り交ぜている。ストーリーは、単純な善悪二元論に陥ることなく、被害者と加害者双方の視点、そして社会の反応を多角的に提示。特に、加害者家族の置かれた絶望的な状況を克明に描写することで、観客に安易な感情論ではない、深い思考を促す。
物語の構成は、事件発生から捜査の進展、そして社会の反応がエスカレートしていく過程を、サスペンスフルかつ緻密に構築。勝浦の過去のトラウマと、本庄圭介の存在がシンクロしていく展開は、観客の感情移入を深め、物語に深みを与えている。また、インターネット掲示板の書き込みやテレビ報道など、現実世界と地続きの描写が随所に散りばめられ、観客に「これは自分たちの問題でもある」という認識を促す。
しかしながら、本作の脚本には、いくつかの課題も散見される。物語が提起する問題のあまりの大きさと複雑さゆえに、最終的な解決策や明確な希望が示されないまま幕を閉じる点は、観客によっては消化不良感を覚える可能性も否めない。また、一部の登場人物の行動原理がやや説明不足に感じられる場面もあり、より深掘りすることで、物語の説得力が増した可能性もある。だが、これらの点は、本作が抱えるテーマのあまりの根深さゆえとも言える。安易な解決策を提示せず、観客に問いを投げかけ続ける姿勢こそが、本作の真骨頂であり、社会派作品としての価値を高めている。
映像は、全体的に抑えられた色彩と、冷たいトーンで統一され、作品の持つ重厚なテーマ性を強調。暗く狭い警察署の廊下、薄暗い保護施設、そして雨に濡れる街並みなど、常に閉塞感と陰鬱な雰囲気が漂う。これは、加害者家族が社会から隔離され、追い詰められていく様を視覚的に表現する効果がある。美術は、リアリティを追求した質実剛健なもの。警察署のセットや、登場人物たちの生活空間は、過剰な装飾を排し、いかにも現実の延長線上にあるかのような説得力を持つ。衣装もまた、登場人物の置かれた状況や心情を反映。勝浦のくたびれたスーツや、沙織の地味な私服は、彼らの心境と社会的立場を暗示する。全体として、視覚的な要素は、物語のリアリティとテーマ性を補強する役割を十二分に果たしている。
編集は、物語の緊迫感を高める上で重要な役割を果たす。テンポの良いカット割りは、観客を飽きさせることなく物語に引き込み、特に、メディアスクラムの狂気を描くシーンでは、テレビのニュース映像、インターネットの掲示板の書き込み、そして街頭のざわめきといった断片的な情報が目まぐるしく切り替わることで、情報が錯綜し、状況が急速に悪化していく様を見事に表現している。登場人物たちの心理描写においても、長回しとクローズアップを効果的に使い分け、彼らの内面の葛藤を丁寧に描き出す。全体の流れはスムーズでありながら、時折挟まれるフラッシュバックやインサートカットが、物語に奥行きと緊張感を与えている。
作曲家は村松崇継。音楽は、作品の持つ重厚な雰囲気を損なうことなく、登場人物たちの心情に寄り添う形で効果的に使用されている。派手さはないものの、静かで物悲しい旋律が、全編にわたって流れることで、観客の心を深く揺さぶる。特に、勝浦と沙織の間に芽生える微かな絆を描くシーンでは、抑制されたピアノのメロディが、二人の心情を優しく包み込む。音響効果も秀逸で、雨音、街のざわめき、そしてインターネットのタイピング音といった生活音や環境音が、物語のリアリティを増幅。特に、匿名の誹謗中傷が飛び交うシーンでは、不協和音のような音響が、視聴者の不安感を煽る。
作品
監督 (作品の完成度) 君塚良一 114.5×0.715 81.9
①脚本、脚色 君塚良一 鈴木智 B+7.5×7
②主演 佐藤浩市A9×3
③助演 志田未来 A9×1
④撮影、視覚効果 栢野直樹 B8×1
⑤ 美術、衣装デザイン 山口修 B8×1
⑥編集 穗垣順之助
⑦作曲、歌曲 村松崇継 S10×1
誰も守れない そして 誰も守ってくれない‼️
殺人事件の加害者家族として好奇の目にさらされる15歳の少女と、彼女の保護を担当する刑事の物語‼️昔ならば見知らぬ土地へ引っ越せばよかったんですけど、ネット社会である現代では日本全国逃げ場はない‼️SNS社会、インターネット社会の恐ろしさ、マスコミの執拗さに身震いさせられる作品‼️「背筋が凍るなッ、オイ!」‼️佐藤浩市の刑事、少女役の志田未来の存在感も素晴らしい‼️透明感あふれるリベラによる主題歌「あなたがいるから」も映画の世界観構築にかなり貢献している‼️監督・脚本は「踊る大捜査線」の君塚良一なんですが、犯人の関係者の保護というテーマでなら「踊る大捜査線」のエピソードにありましたよね‼️今作はそれを更に深めたテーマですね‼️ただ今作には前日譚のスペシャルTVドラマ「誰も守れない」があり、そちらを鑑賞してないと佐藤浩市の刑事と木村佳乃の関係、相棒の刑事・松田龍平との人間ドラマがイマイチ掴めないのも事実‼️
【被害者側の家族と、加害者側の家族の現代社会の非情さと人間の危うさを浮き彫りに。セミドキュメンタリーの手法を用い、登場人物たちの心情をリアルに映し出す作品。】
■未成年の男が小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕される。
マスコミが加害者の家に押し寄せる中、妹の沙織は両親とバラバラに保護されることに。刑事の勝浦が彼女の担当になるが、マスコミ報道とネットの書き込みが過熱化し、二人は逃げ場を失っていく。
◆感想
・私の務める企業でも、様々なトラブルが起きる。
だが、真っ先に行うのが(特に、加害者の瑕疵が薄き案件である。週末に車を運転していた際に、路上で寝ていた人を轢いたしまった案件等。)
- 流石に、報道機関にも連絡をし、過大なある処分にして貰った案件にして貰ったモノである。-
・今作の見所は、名もなきSNS上の愚かしき人々に対し、刑事が決然と立ちむかうシーンであろう
<私は、このレビューサイトでコメントを全て受けるスタンスを取っている。
だが、数名のレビュワーの方の、夜中二時のコメントは控えて頂きたいと思っている。
私はバリバリの企業に勤めているのでそこらへん、宜しくお願いしたいモノである。
(私のレビューが老成した感があるらしいが、現役の勤め人ですので、そこらへん、宜しく。貴女ですよ!)
映画らしい
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公然と認めてはいないものの、警察が加害者の家族を保護する事があるらしい。
マスコミの激しい取材で家族が疲れ果てて自殺するケースもあるからとか。
兄が殺人を犯した事で高校生の未来とその両親は保護を受ける。
しかしうまくまいてもどこからともなく居場所をかぎつけるマスコミ。
刑事の佐藤は未来の母親の警護をしていたが、母は自殺してしまった。
佐藤は未来を連れて、かつて自分が捜査した事件の被害者を訪れた。
それはかつて息子を殺された柳葉で、ペンションを経営していた。
佐藤が警護していながらも上司の指示に従い、彼らの子を死なせてしまった。
それでも毎年命日に来る佐藤を、柳葉は許していた。
しかし機嫌が悪かったのか、突然柳葉が切れる。
未来は加害者の家族であり、君は被害者の家族と同じように扱うのかと。
まあこれは後から謝罪されるのだが、佐藤は柳葉の本心を感じることとなる。
しかも母を守れなかった警察に不信感を持つ未来はネットに居場所を書く。
このヤケクソの行動により、このペンションにもマスコミが訪れる事となった。
しかも未来の彼氏とやらが来て、未来を連れて逃亡する。
そしてホテルの一室に連れ込み、隠しカメラでネットで生中継(場)
それを知った佐藤が来てカメラを壊すが、キレたオタクが乱入、ボコられる。
そんな中でも未来を励まし続ける佐藤に対して未来は信用を回復、
ついには事件の事を話し始め、それをきっかけに兄の有罪が確定。
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やっぱり佐藤はこういう葛藤するような役がよく似合う。
未来も当時まだ15歳とのことだが、上手だった。
それにしてもこれが現実かと思うと寂しいなあ。
いや実際には、マスコミはあそこまでひどくないとは思うけど。
それに加害者の家族の情報をさらしまくりのネット社会になってたが、
ネットの住人たしちもあそこまでひどくはないだろう。
というより、加害者の家族にそこまで興味がないと思うけどね。
あと気持ち悪い恋人が訪れた時、未来が楽しげやったのは異常。
だって、兄が人を殺し、母が自殺してんねんで?
挙句の果てにこの男は最低な奴やったってわかるしね。
ホテルに連れ込んで、何するんか思ったらそれかい!(場)
別の事する方がよっぽどまともな人間やろうって思ったわ(場)
ただの女の子、ではない
加害者「家族」にフォーカスしすぎて
犯人の少年の動機が薄かった
親の厳しい教育だけで女の子二人も殺しちゃうとなると、
やっぱり犯人の妹もそれなりの遺伝的な凶暴性を秘めてるんじゃないかとか、現実にいたら絶対関わりたくない存在にはなりそう
妹をもっと「お兄ちゃんを庇う普通の女の子」として描きたかったなら、もうちょっとお兄ちゃんの精神状態とか動機を詳しくしたほうが、感情移入できたかも、、
とおもいました
加害者家族が糾弾される系だと、
「望み」のほうが面白かったかな
雑記
酷くステレオタイプで時代遅れのオタク像
良い人すぎるペンションオーナー夫婦
彼らのお陰で後味は悪くない
中盤の夫のぶっちゃけ発言、あれがないと現実離れした聖人君子すぎるし亡くした子供への思い入れが無いように見えてしまうし、割り切れないものであることは百も承知だが、振れ幅が0から100でちょっと違和感
彼氏の行動謎すぎる
何故あんなことをしたのか、何がしたかったのか
追い詰めるためだけに不合理な行動を取らせた感がある
刑事さん、家族が襲われてるのに説明しなさすぎ
事件の行く先より今後の家族のことが気になっちゃうよ
重いテーマです
先日観た『望み』にも通じる重い重いお話です。
まだ『望み』の方は息子が犯人か犠牲者か後半までわからず、家族がそれぞれの想いを色々と巡らせるところに重い感情を抱きましたが、こちらは長男が明らかに犯人でそれに翻弄される家族の重い重い展開に観ているこちらも重い気持ちになってきます。
佐藤浩市さんと石田ゆり子さんが出ているので今上映中の『サイレント・トーキョー』(まだ観てませんが)を彷彿とさせます。色々な映画でマスコミやネットの暴力を扱っていますが、この作品はまだSNSが今ほど普及していない10年以上前でもすでに恐ろしいことになっています。この頃から数年後『白ゆき姫殺人事件』ではさらにネットの怖さが拡大し最近は更に更に恐怖がマシマシです。
観終わっての感情、胸にとても重くのしかかる後味の悪い映画ではありますが、志田未来ちゃんの10代半ばとは思えない演技力に関心し、佐藤浩市さんの娘へのプレゼントをもって駆け寄りながら「忘れもの」って言うところは少し救われました。それでも重い映画なので体調を整えて観ないといけない映画です。
考えさせられた作品
容疑者家族も被害者!?
中々重たいテーマで、犯罪が起きた際、被害者は家族は勿論人生が一変する。しかし、容疑者家族も、また然り。同様に被害者と並列には思えないが、この映画の様にマスコミ、ネット民から執拗なまでに追われ、その後の人生も一生背負わなければならないとなると、そうだろう。警察が本当に容疑者家族を守る仕組みなどはあるのだろうか。映画の目の付け所は面白いが、カーチェイスシーン、佐藤浩市が一人で志田未来を連れ回すこと、ネット民から佐藤浩市が襲われること、数年前の被害者家族がやってるペンションに泊まりに行くことなど、少し脚色し過ぎで、折角の題材が勿体無く感じた。もう少し硬派でも良かったのではないか。
問題提起、知らない現実
事件には加害者と被害者が存在する。
それらが天涯孤独でない限り、加害者家族と被害者家族が存在し、ともすれば親戚縁者をも巻き込む。
そんな相関関係の中で加害者家族の保護という考えた事もないテーマがこの映画だ。
確かにこの視点は興味深い。
ニュースを見て視聴者となった我々は加害者家族含めて悪とみなす。加害者を生み出す素地が家庭にあると決めつけるからだ。
感情論で言えば、加害者側に情状酌量の余地は無い。
その反面、人権という憲法に保障されている権利を遵守するために警察機関が率先して保護をするという矛盾がもどかしい。
私個人的な意見ではあるが、犯罪において被害者側より加害者側が何故にそこまで擁護されるのかと疑問だらけな現実に嫌気はさしている。
非人道的な事件を犯した者に、年齢問わず人権は剥奪されてもいいと思う。問答無用なのだ。
さてこの映画。
10年前の作品で既にネット炎上が盛り込まれる。
そんな先進的なマスゴミからテレビや週刊誌のマスゴミがリアルに描かれて興味深い。
前半圧倒的なスピード感でドラマが進み一気に引き込まれる。
惜しい事に、最後が締まらない⤵️
佐藤浩一さんはこういう重い主人公にピッタリだ。
また、当時16歳の志田未来ちゃんはとてもこの歳とは思えない演技力。
今だに一線で活躍できている片鱗が充分に見る事が出来る。
「お茶漬けにしてやってください」「筋子が凍ってるな」
背筋が凍る・・・なんども飛び出す勝浦刑事(佐藤浩市)と三島刑事(松田龍平)のやりとり。1月24日に放送された連動ドラマ『誰も守れない』を事前に見ておくと、“シャブ漬け”という言葉につい噴いてしまいましたが、三島の自虐的とも言える性格など彼らの性格、迷コンビぶりが楽しめる。その上、「背筋が凍る」という言葉の重みも過剰で執拗なマスコミ取材のいやらしさ、それに情報過多のネット社会の存在が被害者家族をおびやかす顛末を象徴していたかと思う。
事件の4ヶ月前を描いたTVドラマ『誰も守れない』では被害者家族の許へ検察庁の被害者相談室の支援員が即日訪れるのですが、この映画では加害者家族を守るために区役所職員や教育委員会までが家族宅へ駆けつけてくるのだ。なぜ区役所?などと首を傾げていると、いきなり離婚届と婚姻届の判を捺させ、容疑者家族の姓を変えてしまうという荒療治を施してしまう・・・驚きだ。
勝浦目線で追いつつも、やがて困惑しっぱなしの加害者の妹沙織(志田未来)目線へと見方も変わり、家族が犯罪を犯すことが周りに与える影響の凄まじさにのめり込んでしまうこと間違いなし。『手紙』という映画も加害者家族を扱っていましたが、同じ殺人事件であっても貧しさからくる古風な事件でした。その点、今作では直情的(状況は説明されてない)な現代的な犯行。発達した情報社会の中にあって、身につまされる内容だ。
それにしても佐々木蔵之介(佐々木とはいえ、だいまじんではない)が演ずる新聞記者はとても怖い。自身の息子が不登校になったということもあって、犯罪を憎みすぎ。たしかに被害者遺族の気持ちを考えてみると糾弾したくなるのもわかりますが、その標的が犯人の妹というのも・・・頭がおかしいだろ!人間はなぜか弱い者を攻撃したくなることの表れなのでしょうけど、執拗なカーチェイスをやってのけるパパラッチのようなマスコミにしても、それこそ背筋が凍るぞ。
その新聞記者が言い放った「家族は死んで償え!」という言葉にしろ、TVドラマでの「犯罪が起こらない限り捜査できない」といった印象に残る言葉も多い。3年前の事件の被害者であるペンション経営者夫婦(柳葉敏郎、石田ゆり子)の悲しさも目の当たりにし、しきりに反省する勝浦。沙織には他人の痛みをわかれば人として成長できる、これからは家族を守れと説くシーンもいい。。殺人犯人の家族という事実は一生ついてまわるのだが、彼女の人生は何度も壁を乗り越えなきゃならないんだろうなぁ。
なんとなくダルデンヌ兄弟の映画を参考にしたんじゃないかと思えるセミ・ドキュメンタリー手法。君塚監督は『マイティ・ハート』を参考にしたと述べていたので、ウィンターボトムだったんですね。
※TVM「誰も守れない」感想
学校の教師が生徒たちにシャブを売っている・・・ひどい世の中。そんな物騒な中でも勝浦刑事と三島刑事(松田)のコンビが笑わせてくれる。
襲われ入院した尾上社長(山本圭)の意識が回復。おぼろげながら、犯人が「家族も覚悟しろ」と言い残したことが蘇ってきたため、警察は家族の保護も検討する。命ぜられた勝浦は「泳がせて犯人逮捕」を主張したが医師を保護することになった。しばらくすると、ネットの書き込みにより、会社の黒い情報が浮かび上がってきた。しかし、厳重な警護に怖気づいたのか、今度もまた娘の借金地獄というデマの書き込みが・・・
保護3日目。単独で怪しい患者(成宮)を尾行中、暴漢に殴られ拉致される三島・・・シャブ漬けにされ放り出されてしまう。患者情報の提供を拒み続けてきた医師だったが、三島のこともあって漸く怪しい人物について語り、逮捕される。
しかし、実行犯は携帯の裏サイトで「復讐を5万円で請け負う」などと非道なことをしていたのだ。誹謗中傷や裏サイトの存在。ネット社会の悪を暴くような内容もあるのだけど、むしろ映画のための序章のような扱い。勝浦が妻と別居中で娘にプレゼントを買おうとしていることや、三島が捕えた犯人の同棲相手と付き合おうとして振られるとか・・・
それにしても、守るとは言っても「事件が起こってからでないと捜査できない」現実。交通事故にしたって、死人が出ないと改善されないこともあるし・・・
〈どちらも2009年1月鑑賞〉
何を守るのか
Fテレビらしい作りの映画。偏見の塊。
「ネット=悪」としたかった描き方。それこそが「悪」。
ネットにイヤな目でもあったのかなw
ネットで晒されたらもう逃げられないぞ、って脅し。
でも逃げるって何から?
マスコミ?ネットおたく?
何が言いたいの?何から「守れ」ないの?
主演の佐藤さんも刑事としてブレブレで無神経。
先ずは志田を母親に合わせるべきでしょ。
そして何故被害者宅に逃げ込む?おかしくない?
そら佐藤さんの「顔も見たくない」わさ。
志田追いかけるマスコミの執拗さとか、
(ハイエースでクラウンには追いつけない)
佐々木蔵之介のネットで情報拾ってる記者とか、
(あ、これも雑誌記者への偏見か?)
ワイドショーのコメンテーターとか、
(ファミレスでワイドショー流れないし)
最後は完全に「ネット=悪」としての見事な描写。
最後のおたく?あんなかっこうしたヤツいるか?
オチも浅くて、何が解決してるのかぼんやりして終了。
みんな笑顔なら解決じゃねーよ。ざけんな。
いろいろ熱くさせてくれた分つまらなくはなかった。
容疑者家族のその後
被害者家族のその後はよくテレビなどで見るけど容疑者家族のその後には関心を向けたことがなくて…
とても胸が苦しくなりました。
今後も「容疑者の妹」というレッテルを背負ったまま生きていくのか…と思うと見終わった後しばらく鬱状態になりました(涙)
落ち込んでる時に見ては駄目な映画かな〜…
家族はお互いに守りあわなければならない
引き込まれました。ホラー映画より怖い
15歳の女の子の兄が殺人罪で逮捕されてからの1週間を描いた映画です。
逮捕直前まで普段通りの日常的な時間が流れていたのに、「逮捕」によって家族の中に殺人者がいることが発覚するやいなや、事前に逮捕を嗅ぎつけていたマスコミを通じて生中継で殺人者が報道され、それを見た近隣住民や知人から殺人者の家族に対する冷酷な扱いを受け始める。
急に天地がひっくり返ったような地獄の時間が始まり、家族がどんどん追い込まれる様子がすごく伝わってきました。
家の中では数時間のうちに、大量の警察が入ってきて家宅捜査が行われたり、家庭裁判所が来てほとんど説明もないまま苗字変更のために両親の離婚手続きを進めたり、また家族への尋問のような事情聴取が始まったり、ついにはマスコミの手から逃れるために家族が引き離されてしまったりする。
家族から殺人者が出ただけで、つい数時間前まで日常が存在していたのが信じられないような状況になってしまうだけでなく、殺人者の家族に対する冷酷な視線が、今後一生あなたにつきまとうと告げられるところが本当に怖かった。
子をもつ私にはホラー映画より怖い映画だと感じしました。
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