「マリーっ!!」マリと子犬の物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
マリーっ!!
新潟県中越地震の実話を基に描かれた絵本、
「山古志村のマリと三匹の子犬」を映画化した本作ですが、
ここで描かれる家族のお話はあくまでフィクションです。
な~んだ、そうなのか、、、と思うことなかれ。
このオリジナルのストーリーが功を奏し、とてもいい話に
仕上がっているのです。もちろん犬と子供の演技に刺激され、
泣けもします。こういう話にありがちなベタな会話もある。
だけど、もっとも単純で、もっとも当たり前の「親子像」が
人間・犬ともどもにきちんと描かれているのです。
付け加えれば、自衛隊の描き方もいい。ヘリコプター最高。
実際に救助にあたったヘリを映画でも使ったんだそうです。
どっかの雪山フィクションより、よっぽどカッコ良かった!(爆)
マリの話、実はぜんぜん知らなかったんです。
ニュース記事として新聞にも載っていたんですね。
実在のマリは柴犬ではなく雑種犬。地震当日子供を三匹産み、
夕方には地震に巻き込まれて、約16日間、置き去りとなります。
ま~置き去りというか。。。連れて行けなかった、んですが。
飼い主の五十嵐さんが家の前にドッグフードを置いていったので
マリはそれを食べながら乳を与え、子供を守り待っていたのです。
迎えに行った時のマリは痩せこけて、
代わりに床下のチビ達は、まるまると肥っていたんだそうです。
その救助直後の写真を見ました。私はこのマリがいちばん好き♪
「どうよ♪私の家族は。」って顔でカメラに微笑んでいるのです。
自身は痩せた身体で。。。このマリを見ただけでも十分。。
映画のマリは、もっと忠犬的な演技を見せたりしますが^^;
これを見ると、犬って本当にご主人さまに忠実なんだな、と。
ただそれだけでも偉いことなのに(犬の世界では当たり前なの?)
親となったら懸命に子供を守る(これも当たり前なんだろうけど)
そんな行為に鼻水たらしまくりで感動する自分は、一体どれほど
情けない人間なんだろう…って^^;思っちゃいますよ、本当に。
予告でかなり長い間(ホントに)マリ達を観てきましたが、
なんかあの予告で見せる子供の演技等が鼻についてしまい、
なんだかな~と思っていたのです(失礼)。裏切られました(爆)
子供達の演技も素晴らしかったし、話が話だとはいえ、
地震は実際に起こったこと、どうしようもない現実を受け入れる、
という難題をすべての生き物が背負った期間だったのです。
家族を失った人もたくさんいたし、奇跡的に助かった人もいる。
自然災害という脅威に、立ち向かう人間達の無力さとはかなさ、
それを乗り越えようと踏ん張る力強さ。もう思い出したくないと
蓋をするのは簡単だけど、その恐怖を忘れないようにとどめる
努力は決して怠っちゃいけないと思うのです。
山古志村の人々は映画撮影にも協力し、それを体現しています。
正確には、この地震の後にも新潟に大きな地震が襲っています。
怖いけれど避けては通れない災害だからこそ、その対策と避難
に対する万全の準備態勢が必要なんだと心から思いました。
そしてマリ…。
地震の後遺症に苦しみながらも、元気に生きているマリ、
早く飼い主の五十嵐さんと一緒に暮らせるように、祈ります。
鑑賞後、私も呼びたくなりました。「マリーっ!」って^m^
(チビ達は貰われて幸せに暮らしているって。良かった(^◇^))