「彼女の存在で崇高な高みに」やわらかい手 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女の存在で崇高な高みに
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伝説の女優として、恋多き女として、波乱の人生を歩んで来たマリアンヌ・フェイスフル。彼女のトボトボと歩く姿。人には話せず困惑する辺りや吃驚する顔、息子に責め立てられ苦悩する姿。それら全て彼女の一挙手一投足こそが、この作品が一部分風俗産業を背景にしていながらも崇高な高みに到達する要因になっている。
本来は「あんな人の善い支配人なんか居ないだろう!」と言いたいところですが、そんな意見さえも彼女の立ち振る舞いの前では無意味に思える程でした。
尤もちゃっかりと“試し”ちゃってる訳ですけどね(笑)
郊外の退屈な生活で噂好きの似非セレブ住民と、低所得達の対比を挟む込む風刺的情景を盛り込みながら、1日の終わりは必ずフェードアウトで示すさり気ない演出は作品に独特のリズム感が出ています。
頑張ってはいるのにどうにもならずに悲しみ呉れている人。社会からはみ出されてしまった者。何よりも世の中の大多数を占める低所得層に対する愛情を感じる作品ですね。
(2007年12月17日 Bunkamura ル・シネマ2)
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