「極限の恐怖の中 人は盲目になる」ミスト Natsukiさんの映画レビュー(感想・評価)
極限の恐怖の中 人は盲目になる
バッドエンディングとは聞いていたが ここまでブラックとは・・・
数日たった今も興奮が冷めない
この作品のテーマは・・・
【濃霧により盲目状態になった様々な人種の人達が
究極の不安と恐怖の中、疑心暗鬼になり間違った行動を犯す】
これは間違いなくマイケルムーアの《ボーリングフォーコロンバイン》と《華氏911》と全く同じテーマ
主な舞台となるスーパーマ-ケットは明らかにアメリカの縮図で マーシャゲイハーデン演ずる宗教おばさんはブッシュと例える事ができる
弱い人達の《外敵に脅えた恐怖心》を言葉巧みに煽り操り 武器を手にさせ 闘争本能を芽生えさせる
スーパーマ-ケット内の人達は、《アメリカ国家の仕組んだ銃社会》が誕生する過程と全く同じ進化をたどり ついに殺し合いにまで発展する
《ミスト》を観た後で《ボーリングフォーコロンバイン》をセットで観ると銃社会アメリカの問題点がより解りやすく理解できるだろう
主人公の最後の大きな過ちも、【濃霧で盲目状態になり 究極の不安と恐怖の中 正しい判断がつかなくなり間違った行動を犯す】パターンの1つだ
《結果論》としては スーパーマ-ケット内で大人しくジッと救助を待ってれば良かったのだが あれだけの人達がスーパーマ-ケット内いたからこそ意見のぶつかり合い等で何を信じれば良いか分からなくなり 主人公を含め多くの人が間違った行動を犯したのだう
事件早々に 2人の子供を助けに我が家へ向かって1人で霧の中へ消えた女性が ラストで子供と一緒に無事に救助されているという《痛烈に皮肉なシーン》がある
彼女は運良く外敵に襲われずに家に辿り着き 恐らく子供と一緒に家でジッとしていた為に余計な疑心暗鬼にならず 突飛な行動にも出ずに助かったのだろう
もし仮に・・・勇気のある(と、勘違いした)誰かと数人で家に戻っていたら 色んな意見に翻弄され 主人公と同じように英雄的な行動で脱出などをやり 間違った結果を招いていたかもしれない
エンドクレジットで聞こえる戦車やヘリコプターの音も《人類が勝利した》という事をダメ押しで暗示させ皮肉が効いている
つまり、スーパーマーケット内の《アメリカの縮図》という構成と同様に この作品自体が《どんな敵にでも武力で勝つ強いアメリカ》を痛烈に皮肉った構成になっている
そして 会話の中にしか出てこないが 《霧の中から怪物が現れる理由》がスティーブンキングらしいSFテイストで想像力をかきたてられ素直に怖い
キングが悔しがったという《原作と異なるオチ》も含めてキングxダラボンの最高傑作
《どんな状況下でも英雄的な行動や判断が正しいとは限らない》