「人間の脆さと希望を見せた霧」ミスト ポールさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の脆さと希望を見せた霧
はじまりは便利な時代に生きる現在の良識も理性ある人間たち
霧とその奥にある恐怖を目の当たりにし
精神を保つために神にすがる
2、3日のスーパーの密室で
死の恐怖と隣り合わせにする事で
人間が集団として生活する
そのはじまりを見た気がした
人の命の尊さを学んできた人間に
生贄という馬鹿げた事を押し付けてくる
まるで霧の中にある村
信じるものが正しくなる
少数派は排除して暮らしやすくする
これを今の規律ある暮らしに持ってくるまで
人間たちは膨大な時間を費やしてきた
それを霧はあっという間に
人間がいかに脆くて危険な生き物か
分かりやすく示した
ラストかろうじて自分たちの正義、正気を頼りに
逃げ出した主人公たちもガス欠になり、なす術なく
恐怖を続けるか(絶望的な街を見て生き延びれるとは思えない)解放されるか選択を迫られ心中を図る
計り知れない恐怖の中で子供を自らの手で
殺めるのはとても悲しく、その時は最善であり愛だった
わずかに残る理性で子供を恐怖や苦しみから守りたい
という究極の愛の深さを描いていた
その後間も無く、助けが来るオチ
このオチが主人公の更なる絶望であり
作品としては希望的な部分
世界が終わったと思って絶望していた主人公たち
その後ろには多くの救助と生存者がいた
スーパーを1番先に出た母親は子供達を守りきっていた
自分たちは霧をさまよって絶望していただけで
世界はまだ動いていたし生きていた
追い詰められると視野が狭くなってしまう
あのスーパーにいた皆と同じように
例え正しくても、少数派であれば潰れる
潰される、殺される、自ら命を絶つ
助けは以外とすぐそこにあったかもしれないのに
容易く助けてもらった人も多かったと感じる皮肉なラスト
勝手に絶望して、そこから溢れた主人公たち
ストーリーとしてはあの父は全てに絶望しているだろうしおそらく自ら命を絶つ
霧の中の生物の正体は、タコだろうがクモだろうがエイリアンだろうがなんでもいい
出口の見えない霧もいつかは晴れる
それは突然やってくる、恐怖と生きてみろ
と言われている気がするそんな作品