「霧の中に何かがいて出ていくと(入ってこられると)襲われて殺されるという表層的な恐怖の裏に、恐怖に襲われた人間が産み出す恐怖という二層構造の恐怖を描いたホラーの佳作。」ミスト もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
霧の中に何かがいて出ていくと(入ってこられると)襲われて殺されるという表層的な恐怖の裏に、恐怖に襲われた人間が産み出す恐怖という二層構造の恐怖を描いたホラーの佳作。
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①最後まで緊張が途切れない演出に感心。②演技陣の中では最重要人物であるミセス・カーモディにマーシャ・ゲイ・ハーゲンを配したのが成功。あの役は彼女のような存在感があり演技巧者でなければ映画に説得感が生まれない。懐かしやフランシス・スタンハーゲンが恐怖の中でも理性を失わない老女性教師として出演しているのも嬉しい。③あの霧がどうして発生したか、とか霧の中の怪物たちは何かというのは映画の後半で判明するが、それはあくまで背景であって閉鎖された空間で訳のわからない恐怖の中で極限状態におかれた人間の反応を描くのが主眼のように思われる。少なくとも私にはそちらの方が興味深い。④キリスト教国であり信仰深い人が多い田舎町だから霧に閉じ込められた人々はあんな風になっちゃったけれど、日本人が同じ状況に置かれたらどういう反応をするか考えてみるのも面白い。⑤救いのないラストに「もうちょっと待てば良かったのに」「あそこで無理して銃を取ったのが裏目に出て皮肉」と思うが、恐怖に囚われる或いは絶望に直面すると人間しっかりしているようでも判断力がなくなるということでしょうね。最初に子供の事が気になって皆の制止を振り切り霧の中に出ていった母親(誰も一緒に行ってくれないとわかると『地獄に堕ちろ』と呪いの言葉を吐いた)と子供たちが実は無事で、道端で泣きわめく主人公に冷たい視線を投げて通りすぎて行く皮肉。「神(か悪魔)」は本当に死ぬ者と生き残る者とを振り分けているのかもしれない。
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