「エンディングをどう解釈すべきなのか…?」ミスト たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
エンディングをどう解釈すべきなのか…?
謎の霧に覆われた街を舞台に、襲いくる怪物の恐怖と極限状態に置かれた人間の心理を描き出すサスペンス・ホラー。
監督/脚本/製作は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』でお馴染みのフランク・ダラボン。
原作は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』等、ダラボン監督と度々仕事を共にしている、小説家スティーブン・キング。
初見ではありますが、エンディングが胸糞悪いということは知っていました。なるほど…このEDは確かに酷い…
フランク・ダラボンのキャリアはホラー映画から始まっているため、ある意味では原点回帰とも言える作品。
しかし、彼のホラー映画作品の中でも後味の悪さは間違いなくNO.1。
主人公デヴィッドは頼りになる男だが、何処か独善的な人物として描かれている。
狂信者であり人々を煽動するミセス・カーモディと対になるようで、実は相似な存在として描かれているのではないでしょうか。
民衆を煽り特定の行動を起こさせるという点で2人は共通しており、カーモディは死に、デヴィッドは付き従うもの全てを失いました。
極限状態に陥った時、信仰により自らの考えを放棄することの愚かさ。
また、独善的な価値観で行動することの破滅。その2点がこの映画におけるテーマなのでは?と考えましたが、正直よくわからない…
胸糞悪いEDなので非常に印象に残りますが、このオチはやはり気分が良いものではないです。
とはいえ、霧の中から襲ってくる怪物という恐怖演出は、ベタとはいえやはり恐怖心を煽ってくるものがあり、ハラハラして映画を楽しむことが出来ます。
全体的に嫌な気持ちになることが多い映画ですが、ミセス・カーモディの死亡シーンには、全ての観客がスカッとさせられたことでしょう。オリーさんかっこいいー!
映画史に残るEDは良くも悪くも観る価値ありです。
余談ですが、社会現象となったドラマ『ウォーキング・デッド』のメインキャストが何人も登場しています。
『TWD』の企画者は本作の監督であるフランク・ダラボンであり、この作品とテーマや状況がかなり似ているような気がします。
『TWD』のプロトタイプだと思って鑑賞してみると面白いかも。