「フレディ・ハイモア君出過ぎ?不幸な境遇の素直な少年役、食傷気味?」奇跡のシンフォニー ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)
フレディ・ハイモア君出過ぎ?不幸な境遇の素直な少年役、食傷気味?
<ストーリー>
エヴァンは生まれてからずっと施設で育った孤児。しかし彼は、両親が何だかの事情で逢いに来ることが出来ず、いずれは二人に逢えると信じている。それは日々、全てのものから感じる"音"の世界が、どこかで両親と繋がっているように思っていたからだ。
ある日、"音"の世界に導かれるように施設を飛びだしたエヴァンは、ストリートでギターを弾くアーサーと出会い、泊まるところを求めて彼の住み家へ。今は廃墟と化したその劇場には、沢山のストリート・パフォーマーの子供達が住んでいて、皆アーサーのように稼いでいた。それを取り仕切ってのが、元ストリート・ミュージシャンのウィザード。そこでアーサーのギターを使って、比類なき音楽の才能を見せたエヴァンは、ウィザードにミュージシャンとして成功すれば、両親に逢えると言われ、彼のマネージメントの基、ストリートで演奏を始める。彼の素晴らしい演奏に多くの人が足を止め、エヴァンは両親と逢う夢を膨らましていくのだが・・・
<個人的戯言>
音楽の奇跡が生み出す「母をたずねて三千里」でしょうか?
今一つ乗り切れなかったのが、フレディ・ハイモア君演じる主人公が、「音楽の天才」として描かれている部分です。「天才子役」としてもてはやされている彼ですが、演奏シーンはやはり嘘っぽさが隠し切れていません。せめて指揮ぐらいは、その「オラー」を感じさせるくらいのリアリティーのある演技を見せてほしかったところです。ちょっと仕事が多過ぎるのか、この作品へ注ぐエネルギーが感じられませんでした。いつもの不幸を背負った素直な少年役も、やや鼻に付いてきたかも・・・
ケリー・ラッセル(「ウェイトレス」の主役の女優さん)、ロビン・ウィリアムス、テレンス・ハワードと、豪華な出演陣ですが、その全てが基本的に脇役。ロビン・ウィリアムスの、思わず「グ~モ~ニング・ベ~ナム!」の名調子を思わすようなシーンも、かなり勿体ない使われ方で、この豪華出演陣は活かされず、あくまでハイモア君ありき。
期待の音楽も、平均点はクリアしていたものの、感情を揺さぶるまではいかなかったかな・・・求めたレベルが「歓びを歌にのせて」とか「4分間のピアニスト」というのはちょっと高過ぎたかもしれませんが・・・