劇場公開日 2007年12月22日

「原作もよく、出演者も豪華なのに…」魍魎の匣 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5原作もよく、出演者も豪華なのに…

2023年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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若き堤真一、椎名桔平、阿部寛、黒木瞳、柄本明、宮藤官九郎と名高る俳優陣が出演する京極夏彦ミステリ―と言えば、否が応でも期待値は高まる。これだけの出演者は、今では大河ドラマでしかお目にかかれないだろう。

また、撮影地も戦後の荒涼とした日本を描くために、中国でのロケを敢行して、角川映画の意気込みを感じる作品。但し、戦後日本を描くのに中国…?と思える違和感がある映像ではあった。

内容も、謎の美少女バラバラ殺人事件を、怪しげなカルト宗教や戦時中の人体実験とを絡めて展開していくわけであるから、かなりグロさもあるサスペンスと思いきや、今ひとつインパクトは感じなかった。確かに両手足を奪われた少女や不気味な研究所など、ミステリアスな雰囲気を醸し出す映像づくりも頑張っていはいたが、当時の日本映画の映像の限界を感じた。

また、物語が前後して展開する映像づくりをしているため、なかなかストーリーに入り込めなかった。「そこが、そこに結びつく」というのが、後になって分かる為、観る者が置いていかれるような感覚で、「なぜ?、何で?」が飛び交っていた。最後には回収されるのだが、もう少しストーリー展開はシンプルにして、ミステリーの謎に焦点化した方が楽しめたように思う。

監督の原田眞人も、最近では人間臭さが漂う安定感の作品を手掛けており、現在の原田監督の礎を築いた作品なのかもしれない。実際、本作の出演者は、その後の原田作品にも数多く出演しており、常に主役を張れる俳優としてスクリーンに映し出されている。

bunmei21