「レプリカントが抱える絶望的な悲しみがよりビビッドになった今までで一番しっくりくるバージョン」ブレードランナー ファイナル・カット よねさんの映画レビュー(感想・評価)
レプリカントが抱える絶望的な悲しみがよりビビッドになった今までで一番しっくりくるバージョン
酸性雨が絶え間なく降り注ぐ2019年のロサンゼルス。人間社会に紛れ込んだ人造人間レプリカントを捕獲する専門捜査官“ブレードランナー”は辺境の植民地惑星から逃亡してきた6人のレプリカントを追っていたが、仲間の一人レオンが尋問中に捜査官を殺害して逃亡、仕事を引き継いだベテラン捜査官デッカードは地道な捜査で彼らの後を追うが・・・というツカミは映画を観ていない人でも知っている話。オリジナル版に対して映像的には際立った違和感はなく1982年当時には不可能だったであろう特殊効果が時折見える程度。但し音響効果についてはヒスノイズが乗ったオリジナル音声と後から被せたと思しきクリアな音質のシンセサウンドが混じり合わずに共存して鳴っている感じが少し気になりました。
バージョン違いによる影響は判然としませんがレプリカントが抱える絶望的な悲しみがよりビビッドになった感あり。この辺りは初公開当時には全然ピンと来なかったところであり、この世界観が理解出来るまでに40年近く年月がかかるほど深淵な風格をまとった作品であることに改めて感動しました。オリジナル版から何も手を加えていない描写であっても古臭い印象は欠片もなく、特にロイ・バッティの佇まいの美しさとレイチェルの今にも壊れそうな可憐さに胸が痛みました。
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