劇場公開日 2007年12月22日

再会の街で : 映画評論・批評

2007年12月25日更新

2007年12月22日より恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

現代に生きづらさを覚えるすべての人へ

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物語のきっかけは、あくまでも9・11に起きた同時多発テロ。チャーリーは、あの事故で妻子を失った男。計り知れない喪失を抱え、魂の抜け殻状態で、独りニューヨークに暮らしている。だが、iPodのヘッドフォンを付けて、原付キックボードで雑踏を滑り抜け、部屋に籠ればプレステに耽溺し、コミュニケーション不全に陥った彼を、特別な不幸に見舞われた者として客観視することができないのだ。

70年代音楽をシールドにして、殺伐とした街を正視せず、虚構の世界に逃げ込んで外界を遮断する。これ以上精神が崩壊しないよう、必死に自己を保とうとする彼の姿に、生きづらさを覚えるすべての者たちの内面が投影されていると言ったら言い過ぎだろうか。21世紀初めの悲劇をリアルタイムに目撃し、その後の重苦しい、先行き不透明な時代を生きる僕らは皆、痛みの大きさの差こそあれ、同類ではないか。そんな解釈の幅さえ与えてくれるほど、茫然自失と発狂寸前の間を揺れ動くアダム・サンドラーの表情がいい。

世界中にいる“チャーリー”を癒すことができるものは何か。偶然再会した旧友アランは、当然の解決策と言わんばかりにセラピストに彼を預ける。その行為を無意味なこととまでは言わないが、この映画は、もっと有効なものがあるはずだと示唆する。それは、身近な人間が腹を割って対峙すること。2人の心は融け合い、自分は正常なはずだと思い込んでいたアランもまた、知らぬ間に被っていた自分の殻の存在に気づくのだ。

(清水節)

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